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戦国終わらず・19

2011.03.28 - 戦国終わらず
震災と関係がある、というわけではないですが、ちょっと奥州のあたりも整理してみたいと思います。
これまでの話          10 11 12 13 14 15 16 17 18

若狭。後瀬山城。
大坂・夏の陣が終わった後、常高院はひと時の平穏を過ごしていた。
無論、その平穏は完全な平穏ではない。多くの戦死者が出たし、何より彼女の妹お江与の夫徳川秀忠が戦死するという痛ましい結末を迎えている。とはいえ、彼女にとっては姉の淀の方が自害するのではないかとも予測していただけに、結果として二人共無事で尚且つ膠着状態を迎えそうなことは悪いことではないという意識でいた。
こう着状態になり、また、幾つかの勢力が徳川・豊臣との距離を置き始めた中、彼女の日課は、頻繁に届けられる姉妹の手紙を読むことであった。
どちらも性格が強いので、手紙も全く容赦がない。とはいえ、お互いに敵方にいるもう一方について聞いてきたり、探るような内容はない。おそらく姉も妹も敵方にいるそれぞれの立場については理解し、尊重しているのであろう。
「……」
「義母上、いかがなされました?」
「左少将殿…」
唐突に入ってきた京極忠高(常高院の夫・高次の息子だが常高院の子ではない)の姿に、常高院は目を見開いた。23歳の京極家当主は日頃は慎み深く、勝手に義母の部屋近くまで入ってくることがないからである。
「叔母上様について、少し気になる話を受けました」
「お江与の?」
叔母というが、忠高の正室の初は徳川秀忠とお江与の娘であるから、実質的にはこれまた義理の母であるといっていい。
「はい。少し前より佐竹家に近づいていたのですが、この度、佐竹を再び水戸に戻すのではないかという話が出てきているようです」
「ほう…」
「当然、そのような話を向けられると伊達政宗は反対するはずです」
わざわざ言われなくても分かることである。
「奥州の方でも動きがあるかもしれません」
「将軍派、そして伊達派で、か…」
「某はもうしばらく調べてみたいと思います」
「任せましたよ」
「はい」
忠高は一礼して下がっていった。
「…忠高殿の下にも情報が届いていた、ということか」
常高院はぽつりとつぶやいて、書状を開く。それは妹・お江与の書状であった。
その中にはまさに、佐竹右京太夫義宣を水戸54万石に戻し、伊達との間の防波堤にしようというような意向が記されてあった。
館林に立花宗茂を置き、常陸に佐竹を置くとなると、仮に伊達と松平忠輝が南下する途上に防波堤ができる。もちろん置かれる方の立場もあるが、佐竹家は関ヶ原の後常陸から秋田へ減封されたのであるから、常陸に戻るということは凱旋のようなものである。当然大喜びするであろう。逆に佐竹と仲がしっくりいかない伊達政宗にとっては面白いはずがない。
(上様の命令ということならば、伊達殿も強くは反対はすまい。しかし、逆に秋田に伊達派の大名、おそらく真田幸村をおしつけるとなると…)
一部で譲歩をした場合、当然別のところでは相手の譲歩を求めるはずである。伊達政宗もその例には漏れるはずがない。佐竹が水戸に戻るのであれば、今までいた秋田には自分と仲のいい大名を据えようとするはずである。
仙台と秋田を押さえれば、奥州に大きなにらみを利かせることができる。
(その場合、奥州全土がどうなるかは盛岡と山形の動向次第であるか…)
盛岡の南部利直は徳川宗家とも伊達家とも関係が深いということはない。しかし、元々自領であった津軽に独立されていることから津軽が大嫌いという点だけははっきりしている。伊達と真田が津軽を封じ込めようとすれば、そこに加担する可能性はある。
(最上家親は大御所様の偏偉を受けているから、親徳川であることは間違いないだろうが、その能力が未知数だ…)
山形57万石を治める最上家親は前年死去した最上義光の次男である。義康という嫡男がいた関係で、徳川家康に近侍していたが、家康はこの次男をいたく気に入り、最上義光に対しても介入していたという噂を聞いている。それが影響しているのかどうかは定かではないが、嫡男義康は廃嫡させられ、流される途上で暗殺されている。義光存命中はそれが大きな問題となることはなかったが、領内にはこの廃嫡の影響が強く残っていると言われており、能力として未知数の最上家親には不安が残る。
(とはいえ、考えていても詮無きことだ。阿茶殿と連絡を取りあい、調べてみるとしよう)
常高院は溜息をついた。
(今宵もまた、一晩硯と向き合うことになりそうだ)



次は山形の動向と、久々政宗あたり?
淀殿とお江与が微妙な分(NHKに喧嘩売ってる?)、真ん中が頭良さげな印象は前からありますが、今回のはちょっと頭よすぎかなぁと思ったりします(笑)。

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Comment

常高院とは - grendel

2011.03.30 Wed 07:25  [ EDIT ]

川の果てさんらしい目の付け所ですね。
上下二人がいいとこ生まれの域を越えないような話しか伝わっていないのを考えると、京極家という微妙なところに嫁いだこの人が相応の対応した事になりそうで。

でも大河は全く見てなかったんですが、水川あさみですか。
キャスティングでは立派に張り合えるんじゃないですか(笑)

>grendel様 - 川の果て

2011.03.30 Wed 17:48 URL [ EDIT ]

一応史実でも間に入って頑張っていたらしいので、こういう展開だと更に活躍しそうな気配はあります。

キャスティングですか。実は水上あさみについて、あまり知らなかったりします(笑)
いや、上野樹里もほとんど知らないのですけれど。

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