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「戦国終わらず」その10

2009.11.22 - 戦国終わらず

話の大筋:大坂・夏の陣で豊臣方牢人衆が徳川家康を討ち取ってしまった。さあどうなっちゃうの? ということで。
これまでの話
         

その頃、大坂では先の合戦での功労者に対する領地分けが行われていた。
豊臣家が自由にできる領土自体は和睦で手に入れた近江と大和のみであるが、元々が牢人ばかりであるため、その配分に困るほど、ということはない。
その領地分けは何度かの議論の末に以下のようになった。

最大の殊勲者は真田幸村と毛利勝永であったが、幸村が出奔してしまったため、毛利勝永が近江彦根周辺に25万石を有することになった。家康を討ち取ったとはいえ、この突出した待遇には多くの者や他ならぬ勝永本人も驚き、当然異論も多く出た。だが、淀の方、秀頼らが強く主張したことで最終的には容れられることになった。
次の殊勲者である前田利常には近江長浜周辺に12万石が加増された。前田家は132万石となり、徳川、豊臣を除いては他の大名家を突き放した感がある。しかも、その前田利常には越前切り取り自由の沙汰が下されたため、これが実現すれば松平忠直を追放すればという条件がつくが、200万石に迫ることになる。
その他、長宗我部盛親、細川興秋、内藤元盛らがそれぞれ大名となり、その他活躍した牢人も活躍に応じて1000から5000石の領地を与えられることになった。
もっとも、全てがうまくいったということではなく、例えば大溝4万石を与えられた長宗我部盛親はその沙汰自体には満足しつつも、将来的にはという条件で先祖伝来の土地土佐の領有権を求めた。
しかし、これに対しては、
「現実として山内家が治めている今、そのような主張を通すは無理ではござらぬか?」
と毛利勝永や明石全登に諌められて断念している。
その明石には与えられた領土はない。
しかしながら、彼の元主人であった宇喜多秀家の復帰が決まり、しかもその秀家には大和郡山に24万石が暫定的に与えられたため(備前等従来の本拠地については保留)、功績としては毛利勝永にも劣らないことになる。

6月になると、大坂城ではようやく戦後処理が終わり、次に向けての準備を進めるようになっていた。
次の準備というのは、まずは大坂城の再構築である。冬の陣の後に堀を埋め立てられていた大坂城は城としては非常にみすぼらしいものになっており、これを増築する必要があった。
その指揮を任されたのは藤堂高虎であるが、これ以外に多くの大名に対して、協力を呼びかけた。もちろん、城普請を名目として多くの大名に対する豊臣家の影響力増大を狙ったものであることは言うまでもない。
これに対して、夏の陣で大坂方についた牢人上がりの大名と前田利常はいち早く協力を宣言し、それ以外では毛利輝元、島津家久、黒田長政、生駒正俊も協力を約束した。
秀頼はこれら協力を表明した大名に対しては謝礼を条件に大坂へ挨拶に来るように要請し、それ以外の大名家の中でも脈がありそうなところには再度城普請への協力を要請する。
この二回目の協力要請は最初のものに比べるとやや強気な内容となっていた。すなわち、断りようによっては実力行使もありうる、というような内容をちらつかせたものだったのである。

阿波・徳島城。
蜂須賀家政はそうした秀頼の強気の書状を受け取った一人である。
元々、蜂須賀家は家政の父である正勝が秀吉の側近として名前をあげた家である。従って秀吉恩顧の大名ではあるのだが、その息子家政は名前もそうであるように関ヶ原の時から家康寄りである。
しかし、大坂の陣でその徳川家康、徳川秀忠が戦死したことでそうも言っていられなくなった。
家政は息子の至鎮を呼んだ。
「大坂から再度の城普請の協力要請が来た」
家政は大野治長からの書状を息子に投げ渡す。至鎮はそれをざっと流し読み、一つ咳をして父親を見上げる。
「どうされるおつもりですか?」
「聞くと、江戸は家光公を新将軍とする方針で固めたという。だが、伊達と佐竹あたりの主導権争いはまだ続くであろうから、当分は西には手を出すまい」
「畿内では豊臣方大名の配置換えが進んでいるという話です」
「全員石高が増えたのであるから、不満など起こるはずもなかろうから、すぐに終わるだろうのう。しかも大坂にはまだ牢人衆5万が残っておる。戦経験の豊富な浪人どもが、だ」
家政は溜息をついた。
「讃岐の生駒があっさりと恭順した以上、わしらも攻め込まれる候補になるやもしれぬ」
「なるやもしれぬ、ではないでしょう」
息子は父親の言葉を厳しく制する。
「豊臣が攻め込むのは事実上、播磨か阿波の二つしかありませぬ」
「……」
家政はまた溜息をつく。そんなことは息子の至鎮に言われるまでもなく分かっていた。
尾張以東に攻め込むという徳川本家との直接の再戦はありえない。和睦をしたばかりであるし、徳川と再戦をするほどの力は今の豊臣にはないからだ。しばらくは幕府内部の主導権争いを活発させようという程度にとどまるであろう。
それ以外の候補としてはまず越前がある。ただ、越前については前田利常に切り取り自由の沙汰を与えたことにより、豊臣家が直接に参戦する可能性は低い。
京を一応押さえたことからその基盤を確固たるものにするべく丹波に攻め入るという考えもあるが、丹波は小大名が多いので、5万の牢人衆を向けるには適した相手ではない。当分は調略や外交政策によって取り込もうとすることが予想される。
そうである以上、豊臣家の攻め込む先は播磨、四国に限られる。四国について言えば讃岐の生駒正俊が協力を約束したのだから、順番からいけば次は阿波ということになる。
播磨は備後・因幡、淡路と池田氏の所領であり、播磨の池田利隆がその宗家筋である。池田氏は先代の輝政が徳川家に近づいて家康の娘をもらったことで徳川恩顧となっており、利隆も秀忠の養女を正室にしている。豊臣家にしてみるとうるさい存在であり、これを叩いて所領を没収することができれば豊臣家に近い毛利や九州と直接繋がることになる。
と考えると、池田氏を駆逐するということになりそうであるが、家政はそれよりも阿波に攻め込む可能性が高いと考えた。理由は大野兄弟や淀の方の感情的な部分である。
池田氏は徳川恩顧であるが、元々は織田信長の家臣から出てきた身である。秀吉とは元々は同列であり、敵対勢力という認識は抱いていても、それを感情的に許せる部分がある。
それに比べて、蜂須賀家はまごうことなく豊臣家臣でありながら、現在は敵対している。このあたり、大野兄弟や淀の方には「裏切り者」に近い思いを抱かせており、彼らの感情的な部分は単純な打算を超越するだろうと予想していた。
仮に播磨の池田の牽制を毛利が引受ければ、豊臣方5万が阿波に攻め寄せてくることになる。蜂須賀氏では到底されだけの軍を迎え撃つことはできないし、下手をすれば讃岐の生駒、伊予の加藤嘉明も攻め寄せてくる可能性もあった。
「山内はどうするかのう」
仮に支援の可能性があるとすれば、蜂須賀家と同じく徳川の恩顧で国持ち大名となった山内家ということになる。
「おそらく豊臣方につくのではないかと…」
「……」
これも息子の読み通りだと家政は感じていた。繰り返し溜息をつく。
「今後も徳川家について確固たる地盤を築くはずだったのだが、世の中はうまくいかぬものだのう…」
「やはり最低限の協力はせざるをえないでしょう」
「うむ。人夫だけ派遣して、形だけ協力しておくことにするか」
「播磨の池田攻めをさせるための策も練っておきましょう」
「…できるか?」
「できますとも」
至鎮は自信に満ちた顔で答えた。

翌日、阿波から協力のための人夫を派遣する旨の書状が大坂へと送られる。
それより一日早く、土佐の山内忠義から協力を約する旨の書状が大坂へと届けられていた。

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