これまでの話 →
◆
さて、シェフのチェンコの言葉に従い、島の奥地にやってきた三人。しかし、
「俺は食材を求めて一人で動く。ここでお別れだ」
とシェフのチェンコは一人で崖を上っていってしまいました。
予想外でしたが、仕方なく、三人は島の奥地へと向かいました。
しばらくすると、一人の村人がくたびれた様子で座っていました。いかにも村の古老という雰囲気で何か知っていそうな予感がします。
「この島に財宝があるという話を聞いて来たのですが、この近くでそういう話を聞きませんか?」
王子様が尋ねるも、村人は力なく首を横に振ります。
「財宝などあるものか。ここにあるのは無限の借款地獄。進むも地獄、引くも地獄のユーバリシティなのだ。
夕張市再建案に市民ら悲鳴・怒り 「出るも残るも地獄」(asahi.com)
少しでも戸惑えば、すぐに恐怖のメルマガ攻勢にさらされることになる。
「このメールは私と以前名刺交換等された方々にお送りしております」で始まるメール(japan.internet.com)
ゆめゆめ気をつけるがいい」
村人はそう言ってどこかに去っていきました。
王子様と人魚姫の妹の顔は青くなりました。
「…そんなに恐ろしいところとは思わなかった。ここは引き返そう」
「あたしも賛成…」
「ですが、こういうところだからこそ財宝があるのかもしれませんが」
「むむ。お姉ちゃん珍しく強気じゃん。確かに水が増えてくれば人魚は泳ぎ易くなるけれどね。でも、シェフのチェンコさんもいないから謎のメルマガ攻勢をしのぎきるのは苦労すると思うけど」
「そうそう。命あってのものだね。守りに入ることも大切だ」
王子様と人魚姫の妹が同意したので、人魚姫もそれなら仕方ないかと引き上げようとしました。しかしその時、頭上から話かける者がいました。
『守り重視は感心しないな。攻撃的な姿勢にこそ、人は共感を覚えるものだ』
「誰だ?」
声の方向を見上げると、赤と青のマントを背負った冴えない顔の男が木のてっぺんに立っていました。しかし、冴えない顔の割に無駄のない動きで地面に降り立ってきます。
「俺の名前はデコ。人呼んでバルサマンだ」
「いや、誰も呼んでないって」
「主題歌も作ったぞ。曲はないが。
『商業主義が世界を乱す、守備重視が幅利かす。
サッカー界は大ピンチ。
立ち上がれよ正義の味方。孤高の勇者はバルサマン。
プジョールタックル闘志の証明、ロニーマジック奇跡の証、イニホワイトは女性の希望、とどめは必殺エトーフラッシュ!
攻撃、攻劇、攻激!!
地域の味方だ、バルサマーン』」
「……」
「地域の味方ってスケールが小さくない?」
人魚姫の妹の痛い指摘にも、デコは動じません。
「問題ない。地域の平和がひいては世界の平和につながるのだから」
「そんなもんかな。で、どうしてデコさんはこんな島にいるの?」
「弟を探している」
「弟? デコさんって弟がいたの?」
「うむ。俺は完全無欠の選手となるためには少しばかり無用な動きが多い。だから、完全無欠の選手になるためには少しばかり動きの少ない弟と合体して完全体とならなければならないのだ」
「完全体?」
「そうだ。完全体となったからには俺は一人で何もかもできるスペシャルな存在となれるのだ」
「ふ~ん。デコさんって
顔は地味だけどスゴいんだね」
「顔が地味というのは余計だ。だが、俺の評価がこの冴えない顔のせいで不当に貶められていることは認めよう」
人魚姫の妹とデコは妙に意気投合したようでした。
人魚姫はそんな二人の様子を見ていましたが、ふとあることに気付きました。
「あの、デコさん。ひょっとして、弟さんの名前がボコだったりして、凸と凹が合わさって完全なピッチ(□=四角形)になるなんて単純なオチなんてことはないですよね?」
「……」
デコは蒼ざめ、苦笑いを浮かべました。
さて、デコと共にユーバリシティで財宝を見つけることができるのでしょうか?
それとは別にバルセロナとポルトガル代表は今すぐ地球のどこかにいるというボコを探し出し、デコとピッチに立たせましょう(笑)
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無題 - がちゃ
バ・・・バルサマンの正体はデコだったのですか?!
そういえば昨夜、部屋のマント(ひざかけ)が不穏な動きを・・・ってうそですが(笑)。
ひょっとすると、凹の正体は顔が似ていると評判の松崎し○るさんだったりはしないですよね(笑)?