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スウェーデンが斜陽期にさしかかった理由

2009.10.15 - 北欧サッカー
ということで、何故スウェーデン代表がワールドカップ予選で敗退したのか、を考えたいと思います。

理由その1
リンデロートがいないから

欧州でも名うてのアンカーであるトビアス・リンデロート。
この選手が2007年以降怪我続きで満足に試合に出られないのがダイレクトに響いたというのは非常に分かりやすい理由ですね。ヨーロ2008敗退の時とほぼ同じ理由です。
残念ながら近年のスウェーデン代表の躍進がトビアス・リンデロートによるところが大きかったということが、彼の不在によってほぼ証明されたことになります。
すなわち、「スウェーデンはズラタンがいなくてもリンデロートさえいればスペインにだって勝てるが(08ユーロ予選のロズンダでのスペイン戦)、リンデロート抜きならばたとえズラタンがいたとしてもデンマークにすら勝てない(今予選)」というのが改めて証明されたわけです。
もちろん、FCバルセロナという超ビッグクラブにいるズラタンと、ガラタサライというマイナー受けするもののビッグクラブではないところに所属し、尚且つエヴァートンでの失敗例のあるリンデロートですから、選手としての総合点ではズラタンの方が上なのは間違いないでしょう。しかしながら、代表チームの場合には総合点の一番高い点数の選手がいなければ必ずしも弱いかというとそうでもないわけで、例えばズラタンが95点の選手、リンデロートが85点の選手としても、スウェーデンのFWの控えはエルマンデルでも85点、ベリでも80点くらいあるかもしれません。一方でリンデロートの控えは順当ならダニエルなわけでこれは65とか70点くらい。キムやアンデシュが起用されたりもしましたが、彼らはあくまで緊急代役に過ぎません。
尚且つスウェーデンは4トップに近い4-1-3-2ですから、特に守備面と守から攻の側面でアンカーの出来不出来が命運を握ります。
今大会のスウェーデンは極度に得点力に欠けましたが、要はリンデロートがいなくて、ダニエルを起用してもダニエルは基本的には守備中心の選手、アンデシュやキムでは本職ではないので持ち味が損なわれたと要はそういうことになるのでしょう。

あとはサウジアラビアに行って以降、チッペン(ヴィルヘルムション)の出番が少なくなったというのも少なくない影響がありそうです。好調時という限定をせねばいけないものの、無類の縦突破ができるチッペンの不在が攻撃のバリエーションを少なくして、ラスムス・エルムのロングスローに頼らなければならない羽目になった部分も少なくないとは思いますので。

でもまあ、スウェーデンくらいの選手層では仕方ないところがあるのでしょう。90年代末にもブロリンが絶不調に陥って途端に勝てなくなった、その後持ち直した躍進がリンデロートだったけど、それがまた絶不調というかケガがちになってまた勝てなくなったということだろうと思います。
仕方のない話です。

理由その2
ラーゲルベック監督のベテラン志向

私はヘンリク・ラーションという選手が好きではありますが(それこそズラタンよりずっと好きだ)、ただ、現実として今回の予選に関してはヘンケと彼の起用に固執し続けたラーゲルベックが戦犯だと言われても仕方ないだろうと思っております。20世紀最高の選手に認定されたヘンリク・ラーションですが、残念ながら21世紀ももう10年、少なくともかつてのようなゴールハンターぶりはナリを潜めてしまい(無論、現在ラスムス・ヨンソンを鍛えているように若手指南役としては健在である)、インターナショナルレベルでコンスタントに得点できる選手ではなくなってしまいました。単純な力関係だけでいけば総合力ではヨハン・エルマンデル、得点力だけ見てもマルクス・ベリの方が上と思えるだけにヘンケの起用に固執しつづけたラーゲルベック監督の采配は糾弾されて然るべきであります。
ヘンケだけに限らず、CBでもマイストロビッチの起用にこだわって、マティアス・ビャースミルなどの抜擢が中々できなかったわけで、結局は平均年齢の非常に高いチームになってしまったわけですから、そのあたりでもラーゲルベックの選手起用は批判されてしかるべきでしょう。
もちろん、この点はラーゲルベックに弁明の余地はあるとも思いまして、例えば06年のカール・スヴェンョンや今もいるグランクヴィストあたりのように一応目をかけているのに殻を破れない若手選手が多いからというのは事実です。ベリやラスムス・エルムのように自力でスタメンクラスを勝ち取った選手もいるわけですから、ベテランだけエコヒイキしていたとも言えないわけですが、老朽化するチームを手をこまねいて見ていただけというのは監督として問題があるというのは否定できません。

ただし、これは誤解してほしくないのですが、私は今回に関してはラーゲルベックの判断ミスだとは思いますが、それをもってラーゲルベックが悪い監督だ、ダメな監督だと言うつもりはありません。
以前にも書きましたけれど、ベテラン偏重と言われるラーゲルベックですが、メルベリにしろズラタンにしろ最初使った時からベテランではなかったわけで、早い話が自分が使い続けた選手がいて、長期政権になるうちに切ることができなくなったとまあそういうところが大きいのだろうと思います。
それこそこれがファーガソンやヴェンゲルなら、H・ラーションやアレクサンデションを早々に切ってしまって、若い選手の発掘にかかったのかもしれませんが、それはそれで後味の悪さも残すわけでスウェーデンはブラジルやスペイン、フランスほど無尽蔵に才能がいるというわけではありませんから、貢献者に対してそれなりのリスペクトは払うというのはこれはこれで仕方ないのかなと思うわけですので。

今回に関して言えば失敗でしたけれど、それまでのラーゲルベックは(コーチ時代含めて)5回続けて主要な大会には出ていたということで、トータルで見ればいい代表監督であることは間違いないし、ある意味自分の信じる道を貫いたということで、前回のEUROの時のイングランドの監督みたいに信念を曲げて尚且つ勝てなかったなんてのと比較すれば余程マシだろうとも思います。
日本との接点はまるでないですけれど、バクスターとか成功したわけですし、キャラクター的にも日本代表監督なんか向いてるのではないかという気もします。
海外の最先端も知ってるし、ズラタンみたいな世界屈指の孤高肌を取り扱ったのだから、本田とか俊輔くらい軽いものでしょうしね(笑) ベテラン偏重と言われつつ、テストマッチでまとめて若手を試したりもしたわけですし。

理由その3
リュングベリの後継者不在
上でベテラン偏重を批判しておいて何ですが、当然ながらいなくなったベテランの穴が大きい場合もあるわけでリュンに関してはそれがあてはまるでしょう。
といっても、別に彼のポジションの選手が…というのではなくて、その勝負強さがという意味で。
アーセナルでもスウェーデンでも、リュングベリはゴール数そのものよりも重要な局面でゴールを決めてくれるというのに持ち味があったわけで、これだけの勝負強さがある選手というのは世界中探してもそうはいなかった。何だかんだ言って1点が勝負を分けるスポーツですから、こういう無類の勝負強さのある選手がいなかったというのは痛かったということでしょう。

今後のこと
H・ラーションもさすがに代表引退するようで、ラーゲルベックもまあさすがに退任するでしょうし、今後は新監督の下で新しいチーム作りということになりそうです。
幸い地元開催のU21でベスト4に残ったメンバーがいるので、切り替えるべき若手は沢山います。
CBでグランクヴィスト、ビャースミル、ランドグレン。
SBはA・ヨハンション、サファリの既存組にオルソンあたりがいて、ストールもまだまだ復帰してほしいところ。
CHはG・スヴェンション、リンドグレン、ヴェルンブルーム。
AHはエルム兄弟、S・ラーションの既存組にイタリアでは中々出番がないもののエクダルもいます。
FWだとベリとトイフォネンに、ゴイトムとか。スウェーデン国内でもヨンソンと復帰してくればセーデルも当然入ってくるべき逸材。
とまあ、ちょっと思い出すだけでも使ってみて面白そうな選手は大勢います。もちろん彼らに切り替えてすぐに結果を出すかどうかは分かりませんが、そこはズラタン、アンデシュ、キムにメルベリあたりのベテランがいますので、うまくいってほしいところですかね。
リュングベリの後継者についてはグローニンゲン時代はベリが勝負強さを見せていたように思いますので彼が第一候補なのかなと個人的には思いますが、HSVではもう一つ。最近は弟の方が評判が高いですが兄貴のヴィクトル・エルムも昨季はヘーレンフェーンで多彩なところを見せていたので、彼なんかにも期待したいところです。
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Comment

なんとなく「先生」と呼んでた - 涼

2010.06.19 Sat 02:29  [ EDIT ]

日韓W杯で惚れて以来海外代表チームならスウェーデンが好きなんですが(それとアイルランド)、「北欧サッカー」のカテゴリを嬉々として読ませていただきました(-∀-
ゲームのウイニングイレブンの話で恐縮なんですが、2005年あたりのスウェーデンをプレイしてて、5人ががりの攻撃陣を見事に支えるリンデロートをやや本気で「先生!」って呼んでたのを思い出しました(w 気の利いたところに居てくれるんですこれが(w
久しぶりに最新のをやるとリンデロートが代表に居なくて寂しくて……。そんな好きな選手なので、この記事にあるように評価が高いと嬉しくなってしまうのですね。好きだって言うわりに怪我のことを知らないあたりが浅いところですが-_-;) 今後はこちらを頼りにさせていただきますね~。それでは。

>涼様 - 川の果て

2010.06.19 Sat 10:22 URL [ EDIT ]

コメントありがとうございます。

リンデロートの長期離脱はスウェーデン代表好きにとっては痛恨事でした。
ウイイレはやったことがないのですが、いい時のリンデロートは実際にも前がかりになる中で中盤を一人で支えたりしてましたので。
彼がほとんど出られなかったということで攻守のバランスが著しく悪くなった感は否めなかったです。

彼に続きうるアンカーは何人か出てきていますが、リンデロート並の存在感を出せるようになってもらいたいものです。

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