川の果ての更に果てに

Ｊリーグの犬飼会長はどうしても秋春制にしたい、という意識の持ち主のようです。

これについては寒い地域の人はもちろん反対で、私もどちらかといえば反対なのですが、エゴイスティックな話をさせてもらえば絶対ダメとかいうとそういうつもりもありません。

ただ、犬飼氏のように「それでなければ絶対にダメなのだ。日本は強くなれないのだ」と言われると「そうかなあ」というような気もしてきます。
何せ日本と同じ春秋制を採用しているスウェーデンやノルウェー、ロシアなんてのがあるわけですからね（以降とりあえずスウェーデンのみで話を進めます）。

スウェーデンはご存知のように欧州の中堅どころ。イタリアやスペインより強いことはもちろんありませんが、多少運に恵まれれば彼らに勝つこともまあありうる、くらいの実力はあります。
そのスウェーデンが仮に秋春制に変えたら、イタリアやスペインにコンスタントに勝てるくらいレベルアップできるのかというと特別そういうことはないでしょう。

スウェーデンでは代表が毎年１、２月にほぼ合宿をやっておりますが、これは海外組抜きで国内組が主体。合宿は必ずといっていいほどアウェイで、何ともするとちょっとした海外旅行気分みたいな部分があります。日本のように最初からホームで「新年早々勝たなければならん」みたいなプレッシャーはありません。無論代表に定着するため選手は個人的にやる気にはなっているでしょうけれど、チームとしてどうこうみたいな意識が低いので見る側も気楽なものです。
まあ、そのあたりのスタイルの違いは別として、日本と同じ春秋制のスウェーデンも１月から国内組を引き連れて合宿しています。つまり日本と同じなわけですが、といって選手が年中働き通しで大変だなんて話題を彼らがしているなんてことはありません。もちろん、スウェーデンの場合はそもそも全土で秋春制が不可能ということはありますけれどね。

話題があがらないのは、彼らがそれなりには休んでいるから、ということがあります。
スウェーデンの場合12月は休み（一時期ロイヤルリーグはこの時期にやってたけど）。夏にも休暇がありますし、ワールドカップやユーロがある時には１ヶ月以上休みにしております。
まあ、スウェーデンは以前は14チームで、現在は16チーム。Ｊリーグのチームより数が少ないので日程を消化しやすいというのはあるのでしょうけれど、といってＪの日程消化がどうしても無理かというとそういうことはないでしょう。

つまり本当に休ませようと思えば試合をサボらなくても休ませることはできるはずである。
しかしながら、日本の選手は確かに代表クラスはずっと出ずっぱり。
ということは、Ｊリーグは休みを与えるための努力をしていないということになります。

その原因を考えると11月（12月頭）にリーグが終わる。それで終わりになれば何の問題もないわけですが、12月には天皇杯があります。これで二試合くらい出るともう12月の半ば過ぎでそこから確かに休みはほとんどない。しかし、これはそもそも天皇杯をこの時期に入れているのが問題ともいえます。
リーグの時期を大幅にずらすくらいなら、天皇杯を２月に行って12月を休みにする方が簡単です。それで代表選手も最低12月は休め、そうでない選手は12と１と２ヶ月休める。

元日決勝が譲れないのなら、決勝だけ元日にする方法だってありでしょう。そもそも天皇杯自体、リーグが終わって契約更改とかやっている最中に行っているわけで、戦力外選手のアピールの場になるという見方もできますが、チームの活動としてこの時期にやるのはいかがなものなのかといえるでしょう。

酷暑の時期を休みに、というのももちろん賛成ですが、ただ、「北のチームは１、２月は全部アウェイでやらせればいい」というのが成り立つなら、「８月の一番暑い時期は涼しいところでの試合を増やせばいい」という風にだって考えられるものです。

春秋制も考えようによってはいいこともあるわけで、例えばワールドカップの頃には秋春制の地域のチームは１年が終わってクタクタですが、春秋制の地域のチームならプレッシャーがそれほど大きくないのでリフレッシュしております。フィジカル能力が問われる競技においてこれは大きなメリットということになります。

ロシアとかスウェーデンが国際舞台でそれなりに強いという現実がある以上、秋春制でなければ勝てん、みたいな思考で凝り固まるほど変えなければならないものでもないような気がします。

ちなみにアメリカはワールドカップ期間中でもリーグ戦をやっておりますが（笑）、それでも彼らは結構強いです。犬飼氏にはそのあたりもできれば参考にしていただきたいな、と思います。

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