川の果ての更に果てに

飲酒運転の損害賠償で３億円もの損害賠償が認められたという判決がありました。

【ＳＴＯＰ飲酒運転】飲酒事故で男性意識不明　受刑者に３億円賠償命令（産経新聞）

この事件では被害者の側が単に死亡したわけではなくて、意識不明のまま６年以上続いているということで、その介護費用などを考えると額自体も妥当なのでしょう。加えて、飲酒運転に対する厳しい姿勢を打ち出すということで、抑止を図りたいということなのでしょうね。
ただま、この事件に対する裁判所の対応は正しいと思いますが、今後の飲酒運転に対する警鐘としてこの判決がどの程度の力を発揮するかは難しいような気がします。

現実として受刑者には３億円もあるということはない（受刑者が出所するときには一応刑務所内での勤務の費用とかが払われるわけですが、この額は数年間受刑に服していて数万円とかそういうレベルなんて以前本で読んで驚いたことがあります）でしょうし、結局無資力扱いになってチャラになるかあるいはさっさと自己破産してしまったりするような形になるかもしれません。
あと、あまり額を大きくしすぎると逮捕されるのが怖くなって轢き逃げを奨励してしまうという部分もあるのではという気がします。全体としての刑罰の期間、損害賠償のバランスとかを考えないと不均衡が生じてしまう可能性がありえますからね。

ただ、飲んでいた場に居合わせていた人間や、店、同乗者にも連帯責任を認めていくという方向に進めば、多額の賠償金が効果を発揮するかもしれませんね。もちろん、同乗者が轢き逃げを奨励するなんてこともあるかもしれませんが…

ちなみに抑止力そのものについては私かなり懐疑的なんですけれどね。だから刑罰を軽くしなさいというつもりはなく、単純に良くしとか威嚇がどうこうというのが信用できないだけで。
変な話、刑罰を重くすれば誰も犯罪をしないかというと、そういうことはありえなくてその線を越える人間が自棄っぱちになる可能性だってあるわけですしね。
結局のところ、捕まることを考えて飲酒する人はほとんどいないわけですしね。子供の頃から刑法を暗誦させて、刑務所というのがどういうところか意識させておいて、それでいて軽犯罪でもしっかり取り締まる姿勢を見せておいて「法を破ればああなるんだ」ということを意識させれば別ですけれど。
そうでない限りは赤信号を無視してわたる時に常に自分がスピード違反の車に撥ね殺される覚悟、若しくは警察官に逮捕されて処罰に服する自分を覚悟をしているような人であればこの手の抑止力がしっかり効力を発揮するのでしょうけれど、人間はそこまで賢くも冷静でもないでしょうからねぇ。

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