川の果ての更に果てに

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2025.01.17 -

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犯罪被害者の刑事事件参加を認めようという刑事訴訟法改正案が提出されるそうです。

刑事裁判の「被害者参加」、来秋導入目指し改正案（読売新聞）

「附帯私訴」と犯罪被害者が証人や被告人に質問できる「被害者参加制度」のその主なポイントとなっているようで。
被害者参加制度については実際のところとしては「言いたいことが言える」以上の効果はないような気もします。この制度を通じて糾弾する…なんてのはおそらく無理でしょうし、そもそもこの手の事件のプロである検察官の質問に適当なことしか答えない被告人が素人の被害者の質問に答えるとも思えませんし。逆に真面目に答えている被告人や証人に対して被害者が質問してもそれほど効果があるとも思えませんので。
ただ、迅速化をはかりたいがために検察官あたりは「それは公判に関係ないから」という理由で被害者の知りたいことを無視したりするケースもあるなんて言いますし、そういう観点からすれば意義がある制度ではあるでしょうね。当然その分訴訟進行が滞ることにはなるんでしょうけれど。

附帯私訴というのは要は刑事事件の中で民事事件的部分もやってしまおうというもの。
現在であれば、犯人は刑事事件で有罪無罪量刑の宣告を受けます。で、まあ極論すれば犯人が死刑になっても被害者に実入りがあるわけではありません。被害者は民事事件で損害賠償請求などをするわけですが、こちらは被害者が単独でやらなければならず裁判維持費などは自前若しくは支援者から募らなければならないという点で結構苦しいことになるわけです。
附帯私訴が導入されて一回の裁判にまとめられるようになれば、この部分の負担が除かれるのでそれはありがたいと。
また、ＯＪシンプソン事件などであるように、たまに刑事で無罪なのに民事で有罪というよく分からない判断が下されることもあるわけですが、このあたりも附帯私訴を導入すれば減るのかもしれません。民事と刑事で結論が分かれる事件自体年に数えるほどしかないでしょうし、あまり大したことはないのかもしれませんが、もやもやしたものが減るというメリットはありそうです。ま、逆に冤罪だとダブルでやりなおしになるので慎重になるかもしれませんけれどね。

ま、もっとも、附帯私訴の場合も一般に予想される殺人事件などではあまり効率的には機能しないような気はします。殺人事件の加害者が数千万円から１億の損害賠償を受けてそれを払えるなんてケースはあまりないでしょうからね。
窃盗事件とか詐欺事件の場合などには効力を発揮するのかもしれませんが。

いずれも有意義な制度ではありますが、有意義であるがうえに比重が重くなることがありえ、そうなると、犯罪被害者の中にも（知識や支援などについて）持つものと持たざるものの格差が広がってくるということもありえます。
このあたりの刑事行政のバランスには気をつけてほしいなと思うばかりです。

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