川の果ての更に果てに

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2024.11.25 -

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江東区の女性殺人事件に限らず、最近の殺人事件の公判は裁判員制度を意識したものになりつつある、なんて話がありました。
で、それに伴ってか電車に出てる週刊誌なんかの吊り広告には「こんな現場を裁判員は正視できるのか」なんて感じの見出しなんかがつけられているのもあったりします。別にそれで週刊誌読むこともありませんけれど。

「正視できるのか」というのに関しては実際、「ＰＴＳＤになるから嫌だ」とかそういう意見もあり、もちろん頷ける部分もあるわけですが、一方でそれも何か自分勝手なんじゃないかという気もしないではないです。
というのも、こうした事件って必ずしも裁判員の人達、あるいはこれから裁判員になるかもしれない自分達にとっても絶対無関係とも言い切れないわけなんですよね。それこそ知人が巻き込まれるかもしれないし、逆に知人がやるかもしれないし、そういうのはないにしてもあるいは目撃者になるかもしれない。

裁判員制度そのものの是非は別にして、社会の中で実際にそういう事件が起こりうる以上は完全に無関心を貫いていていいのか、とも思うわけです。

実際のところ、今はそのあたりがほぼ隔絶されているわけです。現実では起きている、でも知ろうともしない。知りたいのは犯人、あるいは被害者の下世話な事情ばかりと。
で、被害者の人なんかはそういう立場になって初めて現実と正視しなければならないわけですが、彼らに支援を差し伸べるべき…であるところの一般人はそのあたりから完全に背を向けていているという現実があるわけですね。で、自分達に都合のいい主張だけを抜き出して、それを被害者ではなく加害者の方にあてはめて（曰く更正可能性があるとか、曰くこんな鬼畜は死刑にしろとか）正義ぶっている、ってなところもあるわけで。
でも、それでいいのかなぁとも思うわけですよね。例えば広島の平和資料記念館を訪れたアーティスト（確かレッド・ツェッペリンだったと思うけど記憶が定かではない）が「誰が悪いとかそういう問題ではなく、同じ人類の一員としてこのような事態が生じたことに自分も責任がある」みたいなコメントをしていたという話がありましたけれど、同じことはこういう話にもあてはまるんじゃないかなとも思うわけです。

もちろん、裁判員は公平でなければならないわけなので被害者の人と一緒にその現実に向き合って共感するというのは公平性からいけばまずいことなのかもしれませんが、「そんなの見たくないに決まってるだろ」なんて言葉が普通に罷り通り、現実を理解しようという姿勢も見せようとしない社会が被害者にとって優しい社会なのかどうかという気もするわけですね。

それはまあ、現場写真なんて見せると変な刺激を受ける人間がいるのかもしれない、という意見も分かることは分かるのですけれど、自分の社会のある一面で起きていることなんですから、そういうことが起きているという現実を受け入れる覚悟もなければならないんじゃないかなぁとも思います。

あと、どうでもいいことかもしれませんけれど、未だに違和感を感じるのは是非は別として裁判員制度の実施が近づいてきているというのに未だにメディアなんかでは被告呼称なんですよね。
私程度のものが刑事訴訟法の用法について書くのも恐れ多いことですが、刑事事件では被告ではなく被告人なんですよね。なのにメディアがしぶとく被告で押し通そうとするのは何でなんですかねぇ。
ひょっとすると、彼らが躍起になって裁判員制度に反対しているのは導入されると自分達で独占していたり、勝手に作っていた法廷用語とか常識が瓦解するのを恐れてるんじゃないかなんて気もします。

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