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北欧サッカーの誘い

2007.06.28 - 北欧サッカー
数日前にyanzさんから、「何故に北欧サッカーなのか?」という質問をいただきました。
で、きっかけについては元々天邪鬼なのでアップセットを起こすところの方が好き、ということでサッカーに関心をもちはじめたアメリカW杯で3位になったスウェーデンとか98年で頑張っていたデンマークなどが目を引いたというのがあります。ただ、目を引くだけなら別に他所のところも目を引いているわけでその中で何故北欧の面々が残ったのか。

これは中々難しいところではありますが、おそらく集団スポーツにおける試合前から試合終了までの確固たる姿勢に共感がもてる、少なくとも集団スポーツとしてのあり方の正しい姿勢を示しているからではないかと思う部分があります。
ここで北欧というのは主としてスウェーデンとデンマークですが、この両国は確かに地味ではあるものの「他所は他所、ウチはウチ」という姿勢を貫いているところがあり、もっと言うならば「俺達にはできることとできないことがある。できないことを無理にやろうとして負けるほど馬鹿なことはない」みたいな意識が試合を通じて伝わってくるところが面白いわけです。
無論、不可能と思えるプレーを実践することにスポーツの意義があるわけですが、「Do your best」の言葉もある通り、できることをきっちりきっちり積み重ねていくことにもこれまた重要なことです。

まずスウェーデンの考え方は「相手にもよるけど、できるだけ攻撃的にいきたいな」ってな感じです。
例えばスウェーデンの4-1-3-2は相手が弱っちいとなると2トップに加えて、両サイドが高い位置まで上がってくるので…

9   10   11   7

みたいなほぼ4トップ状態になるわけで、システムだけの破壊力はメキシコと並んで世界屈指です。完全に押し込んでしまうと前にほとんど残るため攻撃が行き詰るきらいもある(ドイツW杯のトリニダードトバゴ戦など)わけですが。
機動力と前からの火力で叩き伏せるというグスタフ・アドルフ時代ばりのT字戦法を展開するわけであります。これで中盤の底にしっかり守れる選手(リンデロート)がいるならば、格下の相手は反撃のきっかけも掴めぬまま猛烈な攻撃にさらされて敢えなく大破みたいなことも生じるわけで。
もちろん、通用しないとズルズル下がることになるわけですが、そうなるともう一つの顔である「堅守速攻」が出てきます。スウェーデンというと堅守速攻のイメージがあるわけですが、上位国相手に普通に勝つことは難しいということでいつもいつも堅守速攻に頼っているわけではありません。もちろん、世間のイメージとしては上位国相手の時の試合ぶりが印象に残るわけですけれどね。
要はスウェーデンの場合、「普通に勝てるなら攻撃的にいこう、普通に勝てないなら堅守速攻で勝とう」となるわけです。

一方のデンマークはというとこちらは「going myway」とばかりに大体いつも同じやり方で通してくるタイプで、「通用するならそれでよし、通用せんのならそれはそれでしゃあないわ」というある種の潔さのようなものが存在しています。普通にやって勝てないと思えばガチガチに守って勝ちにいく選択を平然ととれるスウェーデンと違っていつもいつも同じように攻撃的にいこうとするからこそファンも多いのでしょうけれど。
最近は選手がやや小粒化しているのでアウェイになった途端に通用しないことが増えるわけですが、それで別にしょげかえるわけでなく、次の試合ではまた同じことをやるわけで「別の方法に走って負けると馬鹿馬鹿しい。自分達のやり方で負けるなら仕方ないではないか」というような姿勢が見えております。

相撲に例えるならスウェーデンは四つ身重視でいい体勢になれば猛然と寄り切ってしまい、体勢が悪い場合には徹底して粘ってまわしを切りに行くタイプ。片やデンマークは横綱だろうと十両だろうととにかく押し押しでつっかかり、どちらが相手でもまわしを取られたらあっけなく負けるタイプというところでしょう。
ついでに言うならノルウェーは一部のロシア系力士のようなありあまるパワーでとにかくたたきのめそうとするけれど、パワーが通用しなくなった途端に脆さを表すタイプというところでしょうか。

1.普通に勝てるなら攻撃的にいこう、普通に勝てないなら堅守速攻で勝とう。
2.別の方法に走って負けると馬鹿馬鹿しい。自分達のやり方で負けるなら仕方ないではないか。
いずれのアプローチもアプローチとしては誰でも分かっていることであります。
が、これを外野の声に振り回されずにきっちりとできるところにスウェーデンとデンマークの妙味があり、だからこそそんなにすごい選手ばかりでもないのに定期的にアップセットを起こしたり、上位進出とかをやってみたりするわけですね。
1を採用している国としてはブラジルとアルゼンチンあたりですかね。スウェーデンほど極端ではありませんし、そもそも強いので堅守速攻だけでやろうという試合自体が少ないですけれど。
2はメキシコ、チェコ、ノルウェーあたりがそうなんじゃないかと思っております。もちろん自分達のやり方には差異はありますが。
ちなみにイタリアとドイツは「勝てないなら堅守速攻で勝とう。勝てる相手でもしっかり守ってまず負ける確率を下げておこう」ってな感じだろうと思われます。ドイツW杯ではクリンスマンが1の方向への意識づけを図っておりましたが。

あれ、スペインとかオランダ、イングランドは?
とか日本はどうなるの?
となりそうですが、これらの国には残念ながらそうした基本的な考え方がないような気がします。
いずれも政治家が改革を叫ぶがごとく「攻撃的にいこう」とか「面白いサッカーをしよう」と言っていますが、だからといって攻撃的な何か特別な方法論を採用しているわけではありませんし、一途に己が方法論を貫こうというわけでもありません。大体AがダメならBでいこうというのがセコいです。これらは千代大海に「おまえは四つ身になると弱いから、四つの練習もしておけ」なんて言ったり、ラッシュで攻め立てるのが得意な選手に「相手が攻めてきた時にどうするかが不安だからディフェンスの練習を重点的にしよう」と言うようなもので、そんなことを相撲の親方やボクシングのトレーナーに進言したら「おまえはアホか」と一蹴されるに決まっています。ところが集団スポーツだと何故かそれが罷り通ってしまうんですね。で、そこに集団スポーツの面白みがあるわけですけれど。

選手があって、そしてシステムや戦術がある。はじめに「選手ありき」という話があります。
ただ、120%のチームを作るためにはどうするかというと、まず①基本方針があって、次に②その基本方針を遂行できる選手がいて、③そしてシステムや戦術がある、ということになるのではと思うわけです。

仮に4人の代表監督で比較してみると、
岡田氏には「とにかく勝ち点が1でも欲しい」という消極的な①があり、②と③も問題はなかったと思います。基本理念が消極的だったがゆえに結果的に勝てる試合(ジャマイカ)も落とした感がありますが、勝敗は時の運で仕方のない話です。
トルシエは③から入り、それに応じて②を決めていました。ただ、結局何を表現するのか決まらないまま本番になったので、トルコ戦でバラバラな試合をやってしまいました。
ジーコには「まず負けない」というイタリア式の①がありました。しかし、①のための選手を招集しておらず②で頓挫していたのでは…という気がします。素人監督たる由縁ですが、ただ①がしっかりしているので今後ジーコがいい監督になっていく可能性はあると思っています(2005年の12月くらいそんなことを書きましたけど)。
オシムには②と③を遂行する経験値と知識があるはずなのですが、彼が何を①に据えているのかがよく分かりません。これまでの試合からは臨機応変を旨としているのかなと思いますが、それはどちらかというと勝てない国の言い訳めいたやり方で、個人的にはイマイチ納得はしていないです。ただ、日本サッカーは情報化のもたらしたケイオス状態な部分があり、サッカーファン自体が何を求めているのか見えてきません(日本らしいサッカー[それが何であるか現時点では分かりませんが]をすればいいと思うのか、とにかく結果が欲しいのか)。現時点でのオシムはそれを整理しようとしているように見えなくもないのでもう少し時間が必要かもしれんという気もしております。

ま、いずれにしても最初の地点に戻ってくるわけで「俺達にはできることとできないことがある。できないことを無理にやろうとして負けるほどつまらないことはない」という姿勢をはっきりさせている(これは先程までの①②③の前にたつ0といっていいかも)のは集団スポーツでの合理的な方法論を好む自分としては非常に素晴らしいものに見えるわけです。
日本人はこのあたり「できないことを根性でやり遂げることに意義がある」となりそうで、それはそれで特徴といってもいいのかもしれませんが、そのせいかどうかは別としてどうも代表の試合などを見ていると特に「う~ん」と首をかしげてしまうことがあるわけです。

ドイツW杯のブラジル戦の前に「2-0で勝てなくてもいい。決勝Tに進めなくてもいいから一つ一つのプレーをしっかりやって頑張ってほしい」と率直な心情を書いて、「みんな2-0,2-0と殺伐としている中で貴方は何ていい人だ」みたいなコメントをいただいたことがあるのですが、逆に言うとそれができてないと思うから書いたのかなという気もして、今にして思うと、優しいというか「それすらできてないんだから」と見限っていたのかな~という気もしないではないです。
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Comment

無題 - yanz

2007.06.28 Thu 19:16 URL [ EDIT ]

記事を拝見して,なんとなくわかったようなわからないような気がします(笑)
北欧の国々には,合理的でありながら,それを洗練された手法でやり遂げるということに長けているような気がします.寒い気候のための忍耐強さも合わせ持ってますしね.ロシアに攻められたことのあるフィンランドなどとくに.
名前はあがってませんが,アイルランドなんかメンタリティは近いのかもしれません.

>yanz様 - 川の果て

2007.06.29 Fri 10:24 URL [ EDIT ]

書きながら思いついたことをあれこれ付け加えた結果、私にもよく分からなくなってしまいました(笑)

北欧に対するイメージは私もそんな感じですね。スウェーデンには大衆紙みたいなのがないっていう話を聞いたことがありますが、ある意味それが北欧の賢さを示しているのかなという気がしています。

アイルランドも近いといえば近いかもしれませんね。北欧神話とアイルランドの神話は内容は違えど暗い本質を隠さないあたりが似ているような気がしますし。

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