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キャプテン翼を戦術的に考察する(笑)

2006.12.27 - サッカー

最近では海外のサッカー選手も読んでいるという世界最高レベルのサッカー漫画『キャプテン翼』。
そのキャプテン翼の戦術論を考察するということは、日本がより世界レベルへと近づくために必要なものなのではと考えます。

ま、原作があった当時はもちろん戦術とかそんなもの考えずに読んでいたわけですが、今、当時のシーンを思い起こしつつ戦術的に考えると中々興味深い現象が幾つか垣間見られます
キングさんが「キャプテン翼」を取り上げていたので、不意にそんなことを思い出し、エントリにしてみました。

まず主人公翼のいた南葛中。このメンバーで中学大会三連覇を達成したという伝説のチームです。
ちなみに高校以降の話は二、三風説で聞いた程度で全く知りません。

長野   来生   滝 


井沢   岩見

中山   高杉   石崎   小田
森崎

南葛中のフォーメーションは両サイドバックがどっちが右でどっちが左かが分からないものの(出番がないので。石崎は実はSBという説も)おそらくこんな感じ。
で、得点者を見るとほとんど翼で、あとは来生、滝がちょいちょいと。長野と岩見は試合に絡むことはほとんどありません。攻めの展開としては翼か滝のドリブルが目立ちました。

以上から予想される攻めのパターンとしてはまず、ボールを奪えばCFの来生にあて、そのポストプレーから翼か滝が裏のスペースへ走っていくものが基本戦術。あるいは来生を囮にし、いきなり翼が裏を突くという選択肢も。
いずれにせよ、多人数でボールポゼッションをしている機会は皆無であり、南葛の基本戦術は堅守速攻のカウンターであったことが容易にうかがえます。
が、それも仕方のない話で、南葛は守備力が実は極めて弱いのです。元々修哲に30点取られたチームがベースにあるわけで両サイドバックは(多分)ザル同然。森崎も明和に9点取られたりとかなりGKとして問題アリです。
ただ、森崎も仮にも代表GKだけあって、実は若嶋津よりもシュートに対するレスポンスは上らしいことが伺われます。ハンブルクとの練習試合で若嶋津はシュナイダーのシュートを「見えん」とか言っていましたが、その若嶋津負傷後に出てきた森崎は「反応するのが精一杯だった」とあります。つまり森崎にはシュナイダーのシュートが見えていたことになります。また、難波一中との試合で早田のロングシュートに対し、翼が「反対に飛べ」というのを聞きつけ、すぐに反対側に飛べるあたりからも反応速度の高さが伺われます。それでも出る度に点を取られるのはポジショニングやコーチングなどに問題があったのでしょう。つまり森崎は素質は優れているのに正しく導いてくれるコーチがいなかったために開花できなかった不遇のGKといえます。
オシムが日本のGKに辛口ですが、素質豊かな正統派スタイルの森崎が平凡キーパーにしかなれておらず、異端GKの若嶋津がその上の評価を受けているあたり、高橋先生は日本のGK育成がダメだという警鐘を当時から鳴らしていたのでありましょう(笑)。

なので、まずできるだけ失点を防ぎ、その上で点を狙う。上に行くためには仕方のない戦術です。
では、裏にスペースがない場合はどうするか。この場合は明確で翼の強引なミドル~ロングシュートで打開を図っていました。翼がドライブシュートをガンガン打っていたのは約束事として「カウンターができないならミドルを打っておけ」というのが徹底していたからだと思われます。当然、その間に他の選手は守備陣形を整えています。

一方、滝と翼がドリブルで攻めあがる機会が増えると当然そのスペースが空くことになりますが、この場合には来生、長野の両FWがそのスペースをカバーしているものと思われます。長野は本当にFWかと思うほど攻めに絡むことがありませんでしたが、翼がボールを奪われた後、即カウンターから失点を食らうシーンが意外と少ないのは彼がカウンターのために使われるスペースを潰していたからなのでしょう。目に見えない貢献はかなり大きいはずです。
いずれにせよ、常に守備に回った時を意識し、徹底してリアリスティックな展開にこだわったことこそが南葛の強さの秘訣といえるでしょう。
浦辺、新田らが加わり底上げがなされたにもかかわらず南葛高校が東邦に勝てなかったのは、ミドルシュート、単独突破という点では岬が翼に劣っていたため、それまでの戦術が破綻したことが大きかったのではと思われます。

中盤では岩見がガットゥーゾ、井沢がピルロ的な役割を果たしていたものと思われます。両サイドバックが攻撃はもちろん守備でもアテにならないので井沢は守備負担が大きく、ために本来持っていた攻撃色が薄れてしまったのでしょう。
というより、小学校時代には3人で30点取ったり若林という絶対的なGKがいたとはいえ、全国大会で優勝できた修哲トリオ。いくら翼の才能が秀でていたとはいえ、ワンマン戦術への移行を文句一つ言わず受け入れ、タスクを忠実に遂行するのはまさにプロ(?)の鏡です。

それに対して翼、ボールがくるとまずドリブル。基本的にパスもしませんし、パスをする相手もごく一部の選手に限られています。ピッチを離れると善人のようですが、ピッチ上ではカントナばりに融通の効かない選手だったのでしょう(笑)

そして、この戦術は基本的に翼世代での日本代表にも受け継がれています。

日向   反町(新田)

立花政(沢田)  翼   岬   立花和(佐野)

早田    次藤    松山    石崎

若嶋津

中盤の形が分かりませんが、翼と岬のワンツーのシーンが多いところを見ると、この二人を中央に据えたフラットかボックスなのではと思われます。
南葛との大きな違いは4-3-3から4-4-2になったことではなく、中盤がかなり攻撃的になっている点です。これは両SBの能力が向上したことで、極端に守備的な選手を起用する必要がなくなったことがあるものと思われます。逆に両サイドバックは双方ともストッパータイプで攻め上がりはほとんど期待できません。というよりもそんなものは端から期待していなかったのでしょう。
また、3トップから2トップになったのは、得点力に圧倒的な日向ですが、来生に比べるとポストプレーが下手だったからでしょう(勝手に認定)。日向の持ち味はいい時のアドリアーノのような突貫ドリブルと弾丸シュート。パスセンスや戦術的動きを彼に求めるのは良さを消してしまうと判断され、ならば前の大きなスペースを自由に使わせてやればいいという計算があったものと思われます。

なので、攻めの選択肢からポスト→カウンターが消え、いきなりカウンターのみという実も蓋もない戦術になってしまいました。もちろんベースは守備ありきです。アルゼンチン戦でディアスに8人抜きをやられてしまったのはそれだけ後ろに人を集めていたことの証明といえ、そして悲しいことにそれだけ人を集めていても守りきれなかったわけなのです。
ただし、イタリア、西ドイツを相手にした時に相手GKと日本の選手が1対1で相対するシーンが多かったので攻撃面、つまり後ろにドン引きしてからの長いカウンターはそれなりに機能していたものと思われます。おそらく松山、次藤のフィードが正確だったのでしょう(笑) 松山コンバートの意図はセンターライン強化というよりも「ポストプレーを使わないロングのカウンターにはロングキックの正確なDFが必要」という意図があったものと思われます。DFとしての能力はあまりアテにされていたとは思えず、実際DFとしてはほとんど役にたっておりません。アルゼンチン戦でディアスと1対1を果敢に挑むという、CBとしては狂気の沙汰ともいえるようなことも平気で行っております。
困ったらミドルという部分も受け継がれております。これは現代表も見習わなければなりません(笑)

日向の相方となる2トップが流動的だったのは、元より攻めの貢献を期待されておらず、守備で貢献することを求められていたのでその時点で一番コンディションのいい選手を起用していたということなのでしょう(フランス戦で岬がピエールにボールを取られた後の反町のカバーの速さたるや、味方が攻めている時にも常に守備を考えなければならないという南葛イズムの象徴といっていい)。中盤も翼と岬は固定ですが、他は佐野だったり沢田だったり井沢も出たりとかなりマチマチ。これも細かい戦術というよりも「走れ、守れ」を主たるタスクとしていたので合理的であります。
いずれにせよ、攻めは基本的に翼+日向と誰かというのが基本であり、岬も言うほど攻めには貢献しておりません。

その翼ですが、ここでもかなりのカントナぶりを発揮しており、例えば日向の相方などほとんど無視されています。チームに遅れて参加してきた翼を松山が拒否したのは、他の選手の気持ちもさることながら、プレーがあまりにもワンマンなのでチームが根幹から崩れてしまうことへの危惧があったのでしょう。実際根幹から崩れ、自身はDFにされてしまいましたが(笑)
ただ、実際にはカントナばりに自我が強くないと、チームを掌握するなんてことは無理なんでしょうけれどね。

しかし、今になって思うと、小中の頃の三杉君、中盤にいながらDFラインを操作していたのだから神業的なサッカーセンスがあったのでは…


続編?
キャプテン翼を戦術的に考察する・2

キャプテン翼を戦術的に考察する・最終回

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Comment

スゴいっ!! - 藤沢雄二

2006.12.27 Wed 20:02 URL [ EDIT ]

それにしてもよくここまで考察しましたね。これを膨らませていったら本が書けるんじゃないですか?磯野家の謎とかドカベンを解析した本のように(笑)
15年前の学生時代に草サッカーに駆り出されていた時は左サイドのDFでした。でも来たボールをただクリアするだけでしたから、当然、キャプテン翼を読んでも戦術など考えもせずただ面白いと思っていただけでしたから、今読めばまた味わいが違うのでしょうね。

無題 - がちゃ

2006.12.27 Wed 20:37 URL [ EDIT ]

(°Д°)!!
すごすぎです。
もし、このへんのフォーメーションやらもすべて脳内知識のみで書いてたとしたら、コシヒカリ1キロどころか1俵です(笑)?!
私も小学生の頃、見ていた記憶はあるのですが、あんまりはっきり覚えてないなあ。
でもドライブシュートの練習はしたことあります(笑)。

無題 - キング

2006.12.27 Wed 21:11 URL [ EDIT ]

こんばんは。
川の果てさん凄すぎます。言葉もありませんf^_^;
こう見ると南葛中はバルサのフォーメーションみたいですねぇ。
若島津は海外とやった時は結構ボロボロでしたよね。
しかし奥が深くて自分のが恥ずかしいです(笑)

>藤沢雄二様 - 川の果て

2006.12.27 Wed 22:40 URL [ EDIT ]

そういえば結構謎本みたいなムック本ってありますね。翼はあるんでしょうか。本にするとなるともっと増量せねばなりませんね(笑)

現代的視点から見ると結構新しいことが分かるような気もします。

>がちゃ様 - 川の果て

2006.12.27 Wed 22:42 URL [ EDIT ]

フォメは多少データページを参考にしつつ書いてみました。代表に関してはベーシックがよく分からないですね。

ドライブシュートはないですね。ツインシュートの練習にはつき合わされました。スカイラブハリケーンに挑んだ猛者はいたのでしょうか(笑)

>キング様 - 川の果て

2006.12.27 Wed 22:44 URL [ EDIT ]

フォメはバルサやチェルシーのモダンっぽい感じですけれど、実際はどうなんですかね。相当後ろに引いていそうな気がしております(笑)

サッカーですから真面目に考えれば奥が深くなりそうですね。ま、このエントリは単に深読みしすぎているだけですけど(笑)

拍手! - 偽OTSUKA

2006.12.28 Thu 13:35 URL [ EDIT ]

素晴らしい記事ですねー。
恐れ入りました。
シリーズ化してほしいくらいです(笑)

>偽OTSUKA様 - 川の果て

2006.12.28 Thu 16:29 URL [ EDIT ]

ありがとうございます。
シリーズ化するほど大層な量はないですが、以前検討したりしたものが他にもあるので一応続きも書いてみたいとは思っています。

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