川の果ての更に果てに

ＪＲ西日本の福知山線の脱線事故で亡くなった人の内縁状態の恋人が後追い自殺をしたという事件…
葬儀に参列しようとしたＪＲの幹部役員はすげなく追い返されたという話がありました。幹部達は控え室で黙祷を捧げていたということですが…

自殺の原因は色々あるだろうとは思いますけれど、報道などを見る限りでは直接的な要因となったのはＪＲ西が今年の１月で生活費を打ち切ってしまったことで、これに対して「自分は遺族として扱ってくれないのか」という不満があったそう。
ただ、何とも悲惨ではありますし、拒否したくなる気持ちは分かりますが、第三者的に見るとＪＲ西がこの件についてどこまで責任を負わなければならないのかは微妙な気もします。13年間一緒だったという事実はあるにしても、籍を入れていない以上やはり形式的には他人なわけで、このあたりの補償金などが形式面で判断せざるをえない部分は往々にしてあるんじゃないかという気もしますし。籍を入れていなくてもＯＫということになると、この人はともかくとして、ほとんど縁もないような人が親密だったことを装って請求なんてこともあるかもしれませんし。
実際、本当は被害者でもないのが被害者ぶって補償金をせしめようとしたような話もあるわけですしね。

事故の責任とか、その当時の面々がロクに責任も取らずに出向していたりするのは許せない話ですが、この件については遺族として扱わなかったＪＲの対応がそんなに酷いものとも言えない気がします。
とはいえ、大事故などの後ではこういうことも往々にしてありうるわけで、ＪＲとしては生活費とか補償金がどうこうというよりも、むしろ事故を起こした責任者として定期的にカウンセリングを行い、被害者のメンタル面を健全に保つように努力するなど、別個のやり方で遺族のケアをする必要があったのかもしれませんね。

一方、大阪の方では分娩中に脳出血を起こして意識不明になった女性が18もの病院に搬送を拒否された挙句亡くなってしまったのだとか。
こういう話はたまに夜間の小児科医では聞きますけれど、脳外科医でも起きてしまったわけですね。まあ、最近の医師の卵は難しいとか辛い分野は避けるようになったということで、こうした話は今後別の分野でも増えていくのかもしれません。
ちなみに、法医学の分野あたりも相当人が少ないのだそうで、この分野が少なくなると上の話のようなものがなくなる代わりに変死者が正しく検視されない可能性があり、死因が間違われて他殺が自殺になったりするわけで…
当事者としては生への門を次から次へと閉ざされているようで、絶望と憤怒にかられる話です。ただ、実際問題こちらも医師にとっては「できないものはできないんだから」という部分もあるのかもしれません。中途半端に引き受けて、失敗しても「この病院には知識豊かな専門医もいないのに報酬目当てで引き受けて患者を死なせてしまった」となりかねず、やはり責任問題になりかねないわけですし…

後追い自殺をしてしまった女性にしても搬送を拒否された挙句亡くなった女性にしても、結局のところは専門家の人数不足、所在の偏重という実情が招いてしまった話かもしれません。
何とかしなければならないわけですが、何ともならない現実がそこにあるわけで哀しい限り。
合掌…