川の果ての更に果てに

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2024.05.20 -

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先日、広島の弁護士会が死刑執行停止の署名を送ったという話があり、それを受けて「何故に今？」というエントリで「執行に協力的な長勢氏に対する牽制かなあ」と疑問を呈していたところ、光市の事件の話があるからではないかという指摘があり、ついでに「少年だから実名でないのはおかしい」とか「犯罪者に優しく被害者に厳しい」という主張などもいただきました。

で、そのあたりの点についてとりあえず返事を真面目にすると長くなって大変だということで過去のところから当該関係のエントリを引っ張り出してきました。リンクで飛べない可能性も考慮して一応ＵＲＬ記載ということで。gooのこの長いＵＲＬを見てわざわざ打ち込もうと考える人もいないかと思いますが。
『少年法の壁』　→　http://blog.goo.ne.jp/kawanohate/e/38cd1a00dbd6f27a15a05d893c0a4c8e
少年法について「可塑性とかは取り除いてとりあえず区別もＯＫじゃないの？」という見方。

『応報刑というもの』　→　http://blog.goo.ne.jp/kawanohate/e/68ae5fbb2f11796dc0a223f82f4d5d72
『応報刑というもの・２』　→　http://blog.goo.ne.jp/kawanohate/e/324cb9102e535c36bd6530e5d718b855
刑罰の本質論についてちょこまかと。
２の方は指摘に対する釈明みたいな感じなので、やや本質とは離れておりますが。

基本的には当時とそんな考えが変わってませんし、こんな長ったらしいものを毎度毎度書く気はないということでご了承を。

で、最初の「少年だろうが実名を」という点についてですが、別にそれでもいいのではとは思っています。
ただ、「少年だからというのはおかしい」、「大人と同じくすべきだ」という観点から考えれば、むしろ「成年者でも匿名にするという見方もあり」なんじゃないかとなることも一応あげておきたいと思います。

実際スウェーデンなどでは大人だろうと子供だろうと粗暴犯などは匿名だそうです（権力者の犯罪などは実名報道）。
そもそも実名だと、まあそれ相応の制裁効果みたいなのはあるのかもしれません（しかし、犯罪者として確定するのは有罪判決を受けた後なのであり、それ以前の人は無罪推定もあるわけで制裁を及ぼしていいのかともなるわけですけれどね）が、果たして世の中にとってプラスばかりなのか、となると疑問な部分もあるわけですね。むしろ個人的にはマイナス部分の方が大きいのではないかという気もしています。

電車の吊り広告の週刊誌などの見出しを見れば大きな犯罪事件などをやったら非常にセンセーショナルに書き立てるわけで、変な話スター扱いです。実際メディアとしてみても彼らを扱えば売れるということで「有難い」
思っている部分もあるんでしょうけれどね。
で、こういう感じで凶悪犯がもてはやされていると、将来に対してポジティブなことを考えられない人達が「このままでもお先真っ暗だし世間を騒がせるか」などとなりかねないわけですね。処刑された宅間守既決囚にしても、牢にいる頃に結婚したいと名乗り出る人とかがいて、実際結婚していたという話ですから、派手に書きたてることで「ああいうのがイケている」と考えるヒッピーな人達も出てくるということであります。で、まあ、ある面退廃化も進んでいる社会ではこういう「ああいうワルがいけているから俺も私もやってみよう」なんてのが怖いわけであります。

匿名でも犯罪をセンセーショナルに書き立てることはできるのかもしれませんが、名前を葬り去ることで「こんなことをしても有名になるわけではない」という意思表示などはできるわけです。
この点、日本の死刑囚は世界でも例を見ないほど隔離されていて「皇居の中の次に実態が分からない」というのがあるわけですが、「一切存在を示さないことで社会から封印し、犯罪などをしても自己の存在を誇示などできないようにすることによって愉快犯とかをなくす」という法務省の意思表示と考えれば（そんなことは考えていないでしょうが）それはそれで説得力があるともいえます（だから正しいかどうかは別として）。

その他でも例えば警察官の犯罪などでは概ね匿名であったり（情報提供源なので機嫌を損ねたくないというメディアの意向でしょう）、外国人の犯罪などとか特定地域（部落地域）について時に正式名でない場合などもあったりするのだそうで、実名だとあれこれメディアの細工が加わりがちだということになります。要は事実に対するミスリードなども招きかねんという危惧も抱けるわけですね。
それならむしろ全部匿名でもいいのではないかということになるわけで。

尚、匿名報道が原則となると、真摯な思いから取材したいと考えている人には手がかりがつかめなくなることから問題なんじゃないのかということになるかもしれませんが、この点スウェーデンは情報公開制度などがしっかりしているということで正当な取材を妨げられることはないということです。

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Comment

ありがとうございます - 藤沢雄二

2007.06.23 Sat 06:19 URL [ EDIT ]

丁寧な回答ありがとうございます。もちろん、何でもかんでも実名でというワケはなくケースバイケースで、とは思っていますが、どうも光市の件には「（死刑判決or実名報道を）やれるもんならやってみい」的な挑発行為の匂いを感じるので、大人をナメるなよ（by横浜・港署のダンディ鷹山＆セクシー大下／笑）と応戦したい気分でもあります。
この件は別次元の話になってしまっているので、一般的な案件で冷静に判断したいものです。

＞藤沢雄二様 - 川の果て

2007.06.23 Sat 11:56 URL [ EDIT ]

光市の弁護団は当人たちは世間をコントロールして有利に導く…みたいなアメリカ型弁護をやっているつもりなのかもしれませんが、明らかに逆効果という感じはしますね。

実名匿名はケースバイケースになるとかえってミスリードとかが生まれがちになると思いますのでどちらかで統一した方がいいのではと個人的には思っています。

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