川の果ての更に果てに

ここから先はフィクションであり、実在の人物の行動・思惑とは何の関係もありません。

陸奥のファンタジスタ小笠原「…フッ、チームは降格。自身は出番無し。俺を取り巻く状況はあまりに厳しい。まるで俺の育った東北の荒波のようだ」
唯一の中田・浩二「岩手は太平洋側だからそんなに波は激しくないだろ」
陸奥のファンタジスタ小笠原「おまえは…浩二。久しぶりだな。チームで出番を掴むわ代表復帰を果たすわと羨ましい限りだ。俺は出番がなくなって鹿島に戻ろうかと思っているというのに…」
唯一の中田・浩二「僕も鹿島に戻ろうかなと思ってるんだけどね」
陸奥のファンタジスタ小笠原「何？　何故だ」
唯一の中田・浩二「それが最近日本では中村一家の侵食が激しいらしくてね。ＶＴＲ、スタート！」

セルティック俊輔「グラスゴー本社社長の俊輔。俺さぁ、ぶっちゃけ中村が最強だと思うんだよね」
アナザーナカムラ・ケンゴ「ククク、川崎支店社長のケンゴです。これからはナカムラの時代ですよ」
中村直志「千葉人だけど名古屋支店社長の直志だがや。中村は無敵だで」
中村北斗「博多支店社長の中村北斗だよ。中村はサッカーの共通語なのさ、中田はもう時代遅れだよね」

陸奥のファンタジスタ小笠原「……」
唯一の中田・浩二「…というわけで、最近では中村にあらずんばＭＦにあらずみたいな風潮があるらしい。それに影響されてか『中田だとＭＦとしてやっていけない。これからは中村だ』と中田系列の小会社がどんどん吸収合併されて中村になっていたり、田中に改名するなんていう嘆かわしい話も聞く」
陸奥のファンタジスタ小笠原「…おまえ誰かに騙されてんじゃないのか？」
唯一の中田・浩二「だから俺が復帰して、中田はまだまだやれるんだということを示さないといけないと思うわけだ」
陸奥のファンタジスタ小笠原「ま、いいけどね。とりあえず久しぶりにみんなに会いに行こうか」
唯一の中田・浩二「と思ったら向こうに野沢がいるぞ」
陸奥のファンタジスタ小笠原「本当だな。しかし一人でしゃがみこんで何やってんだろう？」
超絶技巧野沢「…ねぇボールちゃん、さっきのキックは良かったでしょ？
…えっ、痛い？　もっと優しく扱ってほしいって？
もう、仕方ないなボールちゃんは。さっきはタッチが柔らかすぎる、もっと激しくしてほしいって言っていたのに」
二人「……」
唯一の中田・浩二「み、見なかったことにしようか」
陸奥のファンタジスタ小笠原「あ、ああ…うん？」
マスダチカシ「……」
陸奥のファンタジスタ小笠原「何やってんだチカシ？　明子姉ちゃんみたく物陰からこっそりと野沢の様子を見ていて」
マスダチカシ「げっ、小笠原さんに浩二さん！　な、何でもないっすよ」
二人「……」
マスダチカシ「何でもないですってば」
唯一の中田・浩二「チカシ、悩みがあるなら相談に乗るぞ」
マスダチカシ「……納得いかないんですよ」
唯一の中田・浩二「何がだ？」
マスダチカシ「僕ははっきり言って自分がイケメンだと思うんですよ」
陸奥のファンタジスタ小笠原「本人がはっきり言うとムカツクが、おまえは確かにイケメンだと思う」
マスダチカシ「で、僕はいつもハートを燃やしてプレーしてるんですよ」
唯一の中田・浩二「確かにおまえはいつも全身全霊プレーしていると思う」
マスダチカシ「なのにボールは僕じゃなくて野沢さんの意のままになっているんですよ。僕は顔もあって心もこもっているのに。野沢さんははっきり言って（スキル）オタクじゃないですか！　なのに…」

ボールＭ「ねえ、マスダ君いいと思わない？」
ボールＮ「え～、マスダ君は暗そうじゃない。これからは野沢さんの時代よ」

マスダチカシ「…なんてなるんです！　こんなのおかしいですよ！」
唯一の中田・浩二「…おまえもボールの幻聴が…」
マスダチカシ「こんなのおかしい、僕は納得できないできない」
陸奥のファンタジスタ小笠原「駄々っ子みたいにジタバタするんじゃない。要はテクニックじゃないのか？」
マスダチカシ「ガーン！　じゃあ、テクニックもさしてないヒラヤマがもてはやされるのは…」
唯一の中田・浩二「それは体（のデカさ）だろう」
マスダチカシ「……」
陸奥のファンタジスタ小笠原「あらら、この世が終わったかのように手をついてしまった」
唯一の中田・浩二「まあ、頑張ればその内何とかなるさ。あと、ボールと会話するのはやめような」
マッキーマウス中後「チュー、小笠原さん、浩二さん！」
陸奥のファンタジスタ小笠原「おお、マッキーマウス中後じゃないか」
唯一の中田・浩二「…ってか、名前にちゅうがあるからネズミっていうのは全国の中後さんとか中馬さんが怒るぞ（ごめんなさい）」
マッキーマウス中後「二人とも戻るんでちゅね？　うれちいでちゅー」
陸奥のファンタジスタ小笠原「浩二が戻ればポジションがなくなるかもしれんぞ」
マッキーマウス中後「競争は望むところでちゅー」
唯一の中田・浩二「よしよし、おまえはいい奴だ。チカシみたいにボールと会話しようなんて考えずに頑張ってプレーしていれば、そのうち代表にも呼ばれるようになるぞ」
マッキーマウス中後「ちゅー。頑張るでちゅー」
陸奥のファンタジスタ小笠原「……」
唯一の中田・浩二「どうした小笠原？」
陸奥のファンタジスタ小笠原「いや、俺はちょっとヤボ用を思い出したから二人先に行ってくれ」
唯一の中田・浩二「あ、ああ」
二人どこかへ行く。
陸奥のファンタジスタ小笠原「ボールと会話ができる…そう信じるのは俺達ファンタジスタの業、みたいなものなのかな。なぁ、ボール…」

しかし、小笠原はともかく中田浩二も鹿島に戻るんでしょうか。ま、サッカー以外のこととか考えれば色々あるかもしれないので、何とも言えるものではないですけれどね。
中田浩、鹿島復帰の意向…親しい関係者に胸のうち明かす（サンケイスポーツ）