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「戦国終わらず」その1

2009.10.17 - 戦国終わらず

以前の「うっかり真田が家康を倒したら?」というのをノリだけで始めてみることにしました。
断言しておきますが、専門家ではないので正確性の保証は定かではありません。
事実の認識違いとかがあるかもしれませんが、そこのところはご了承くださいませ。

慶長20年、5月7日。大坂。
豊臣家と徳川家による最後の決戦の火蓋が切られてから、およそ5時間が過ぎようとしていた。

伊達政宗率いる部隊は、前日の道明寺での戦で被害を被っていたこともあり、この日は大和路方面についていた。傍らで腹心の片倉重長も戦況を様子見している。緒戦から大坂方が優勢で、芳しくないことは見て取れたが、兵力差では大きく勝ることもあり、戦況を見る表情には余裕があった。
そこに伝令が駆け込んでくる。
「と、殿!!」
伝令は政宗の姿を認めると、走り寄りながら大声で叫ぶ。
「大御所様、討ち死にっ!!」
一瞬の静寂。
政宗は緩慢とした動きで傍らにいる重長に視線を向けた。唖然とした様子で、締まりなく口を開いている。無論片倉小十郎重長はそのようなほうけた人間ではない。父景綱に勝るとも劣らない大器と称されている。その人間がこうなるところに、徳川家康戦死という衝撃の大きさを物語っていた。
「…真か?」
「真田左衛門佐の軍の猛攻を受けかねているうちに、毛利豊前守の突破を許し、進退ままならず…」
「左様か…」
政宗は高台に登り、遠く天王寺方面へと視線を向けた。
確かに真田の赤備えと、後藤基次・木村重成軍を加えた毛利勝永の部隊が縦横無尽に動き回っており、東軍の各部隊は散り散りになっている。伝令の言うことがあながち嘘であるとは思えなかった。
次いで政宗は岡山口の方に視線を向けた。
岡山口には現征夷大将軍徳川秀忠がいる。仮に家康が死んだとしても、秀忠が健在ならばそれほど大きな問題ではない。
しかし、政宗の視線にはそれとは違う期待が込められていた。
(もし、秀忠も死ねば…)

先ほどまで岡山口でも苦戦していたことを政宗は確認している。もし、家康に続いて、秀忠まで死ねば徳川家に大きな混乱が生じることは間違いない。
その状況は本能寺の変で織田信長、信忠が死んだ時と近い。その後織田は没落し、現在は信雄ら数人が小大名として生き残っているにすぎない。そして織田の天下は羽柴秀吉が取り、その後徳川家康が取ろうとしていた。
(俺には秀吉になる資格がある)
政宗の天下への野望は秀吉にも家康にも劣らない。そして、当時の秀吉よりも政宗は徳川家に食い込んでいた。家康の六男で、この戦にも従軍している松平忠輝は政宗にとっては義理の息子である。また、秀忠の死という条件を加えれば最年長でもある。
(うまく忠輝を使い、この戦の退却をしてのければ、後々有利になるかもしれない)
政宗はそう思っていたのであるが。

だが、程無く政宗の表情には落胆が見て取れるようになった。
徳川秀忠のいる岡山口の東軍は確かに押されてはいる。だが、崩れているという様相は呈しておらず、あくまで相手の意気に押されているという程度であった。
(…こちらの主軍は大野治房か。治房程度ではどうにもならんな…)
政宗は、一瞬だけ抱いた天下への野望を捨て去り、現実的に徳川の将として対する方策を考えようと、高台を降りようとした。
「む…?」
降りようとして、足を止める。
「いかがなさいました?」
片倉重長が下から尋ねる。
「いや、大したことではない…」
政宗は重長に答えて、そのまま下に降りる。
一瞬感じた違和感の正体は大坂方の遊軍として控えていた明石全登の部隊が岡山口方面に向かっていたことであった。
(明石は大野よりは戦上手だが、奴が加わっただけではどうにもならぬわ)
「殿、いかがなされますか?」
「大御所がみまかわれたという中でのんびりしているわけにもいくまい。岡山口の軍の支援をしつつ、引き上げさせるしかなかろう」
「分かり申した」
政宗の方針を、同じ大和路にいる各部隊にも伝える。
それぞれも一様に家康戦死の報に混乱していたが、この近辺の部隊の中で一番経験も地位もある伊達政宗が方針を示したということ、それはほぼこの方面の責任者である松平忠輝のものとも近いということから順調に動き出し、やや遅まきながらではあるが、岡山口方面に動き出そうとする。
「も、も、申し上げますっ!!」
そこに岡山口方面からの伝令が駆け込んできた。
「将軍様、ご自害!」
「何だと!?」
政宗は今度は驚きを露わに伝令に近づく。
「馬鹿を申すな! わしは先ほどまで岡山口の方を見ておったが、明石が加わったところでそのようなこと起こるはずもない!」
政宗の怒りを受けた伝令はいい迷惑ではあるが、平伏して反論する。
「前田筑前守が、寝返ったのでございます!」
「前田が!? ええい、もうよい。わしの目で確認する」
政宗は再度高台に登り、岡山口の方を確認し、目を見開いた。
ほんの少し前まで整然としていた東軍は、前後を大坂勢に囲まれ、次々と皮を剥くように削られている。
前方、つまり城の方から攻め寄せているのは大野治房の部隊と、明石全登の部隊であった。そして、後方にいる部隊は…
(確かに前田勢だ…)
前田利常の梅鉢紋の軍勢が、岡山口の徳川方の後退を妨げている。積極的に攻撃は仕掛けていないが、味方の後退の妨害をしている以上は寝返りに等しい。
(だが、前田が寝返ったとしても、逃げることならできようものを)
全包囲されているわけでもないし、数自体は岡山口の部隊の方が圧倒的に多い。天王寺口の東軍は撃破された部隊の兵が、そのまま後続の徳川方部隊に逃げ込んで大混乱を起こし、収拾のつかない状況になっていた。岡山口はそこまでは至らない。であるから、粘り強く采配を執れば反撃も不可能ではなかったはずであり、そんな状況で諦めて自害というのは政宗にはにわかには信じられなかった。
(とはいえ、秀忠だからな)
家康と比べると遥かに采配の劣る秀忠である。家康の死の報告も受けていたであろうし、瞬間的に絶望したのだろうと政宗は納得した。
(結果的に、これで伊達にとっては面白いことになる)
政宗は一旦諦めた野心を再び呼び起こし、思わず頬をゆるめた。
(しかし、前田は何故に寝返った…?)
それは政宗にとっては腑に落ちないことであった。
前田利常は22歳と若いが、関ヶ原で寝返った小早川秀秋に比べると遥かに聡明で知られているし、政宗も評価していた。
それほどの人物であるから、単に目先の状況で利益に走るとも考えられない。仮にこの戦いが大坂方の勝利に終わっても、それで西軍が勝てるという状況でもない。前田利常が寝返ったとなれば、新しい将軍が誰になるとしても前田家は目の仇にされることになる。それだけの重荷を背負うだけの利益が前田にあるのか。
「明石殿との間で示し合わせていたのかもしれませんな」
高台から降りてきた政宗に対して重長が口を開く。
「明石と…?」
「豊臣が挽回できたとしても、秀頼公と淀殿に心から従う者はたかが知れております。そうなるとより人望があり、かつ関白様恩顧の者に期待が集まります」
「なるほど。備前宰相を八丈島から連れ戻し、前田と宇喜多で豊臣を支配しようということか」


ということで、以前の分析エントリでは宇喜多のウの字も出ませんでしたが、秀家が家康が死んだ展開では面白いのではないかという推測の下に進めてみることにしました(笑)

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