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2026.04.25 - 
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The hunter Orion

2006.12.20 - 駄文

これまでの話 → 

さて、人魚姫の妹、王子様、ロマン王の3人は人魚姫を追ってスタスタと走っていました。
「どこまで行っちゃったのよぉ。お姉ちゃん…」

一方、別方向からは同じく走ってくる三人の姿が。
「いい加減、あたし達も出番を得ないとね」
既に存在意義がなくなりかけているかぐや姫でした(笑)

それはさておき、主戦場。
サビオラタンとパヌッチの戦いはパヌッチ優勢のまま推移していました。
「…ぴょん。奴は手鏡で全方位が見えるからどこから攻撃を仕掛けても読まれてしまうぴょん。これは困るぴょん…」
サビオラタンは困惑した顔で適当な距離をとっていました。と、街が見えてきました。
「…ぴょん!」
サビオラタンが手をポンと叩きました。
「お~い、こっちに来るぴょん!」
サビオラタンは突然ぴょんぴょんと飛び跳ね、移動を開始します。
「何を企んでいるのか知らんが、乗ってやろうじゃないの! …おっと、風で髪がなびいて変になった」
パヌッチも追いかけ始めました。しばらく続く追いかけっこ。
「…! あったぴょん!」
サビオラタンは街の入口近くにある消火器を手に取りました。そして、スポンと栓を抜きます(良い子は絶対マネしないでね)。
「攻撃を見切っても、かわしきれない攻撃をすればいいんだぴょん!!」
サビオラタンはパヌッチ目掛けて消火器を発射しました。
「うわ~っ! やめろ! 俺の髪が、せっかく三日に一度美容院に行ってバッチリ決めている髪が無茶苦茶になる!」
「この中に脱毛剤も混ぜてやるぴょん! ツルンツルンになってしまえぴょん」
「やめてくれーーーっ!!」
攻守一転、今度はパヌッチがひたすら逃げ惑う番となりました。
「…これであいつは電話してほし~の、とかそういう目になるのだろう」
ナカータンが遠目に様子を見てポツリとつぶやきました。
「…ナカータン。俺が奴を食い止めるから、しっかりと決めろ」
「…それは俺のセリフだ。俺があいつを食い止めるからその間におまえが決めてくれ」
「……」
「………」
「仕方ない。俺の方がミドルシュートも巧いし、パワーアップもしたしな」
デコはひきつけ役をナカータンに任せて、一歩引きました。
「暗黒騎士カイト。あの二人を倒すのです」
「…御意」
人魚姫の命令を受け、暗黒騎士カイトが二人に襲い掛かりました。
ナカータンは時折ナカータン・ネットを飛ばして撹乱しつつ、ひょいひょいと攻撃をかわし続けました。
「いい加減に覚悟めされ! グロンペイン症候群!」
暗黒騎士カイトの攻撃が炸裂、ナカータンは叫び声をあげ、その場で足を止めてしまいました。
「とどめ!」
「ヒョウ!」
暗黒騎士カイトがとどめを刺そうとしたその瞬間、しかしナカータンは突然強烈なムエタイ蹴りを放ちました。そして暗黒騎士カイトがひるんだところに、
「ナカターン・ネット!」
無数のアクセスを絡めて、暗黒騎士カイトを動けなくしてしまいました。
「今だデコ! 奴が糸を焼き払う前に」
ナカータンが叫びます。
「言われなくとも。うおあああっ!!」
雄叫びとともにデコが強烈なショットを放ちました。
「…む、無念~~! ……」
まさもに受けた暗黒騎士カイトは大きく吹き飛び、そのままブスブスと煙をあげて動かなくなってしまいました(ロボットか)。
「暗黒騎士カイト!! うっ、うああ、あ、頭が…!」
人魚姫が苦しそうに頭を抑えました。
「…どうなってる?」
「暗黒騎士カイトが倒されたことで元に戻るのだろう」
と、デコが安心していましたが、
「うああああああっ!」
人魚姫が地面に頭を打ちつけ叫びました。と、額に奇妙な十字星が浮かびます。
「何だ? ひ、ひょっとして誰かが元に戻らないように秘孔でも突いたというのか!?」
「…ク、クククク。がちょう番の娘さんにこの丸秘孔をついて(何時突いたんだ?)いてもらわなければ、闇の偉大さを忘れてしまうところでした」
人魚姫の声とともに暗黒騎士カイトがムクリと立ち上がりました。しかし、その形態が微妙に変わりつつあります。
「バカな…暗黒騎士カイトが…変身?」
暗黒騎士カイトの破損している箇所が修復され、しかもその甲冑がよりパワーアップしたものへと変わっていきました。更に背中の数字が18から7へとゆらゆらと移行しつつありました。
「…ってボクの立場は?」
キューウェル、君はケガばかりしているくせに偉そうなことを言うんじゃないよ。邪魔だから話に出てくるんじゃない。
暗黒騎士カイトは7番への移行が完了しました。あのキーガン、ダルグリッシュがつけていた栄光の番号を受け、輝きが増したかのように思えます。
「コイツ一体何なんだ…」
ナカータンが呆れた顔で暗黒騎士カイトを見る反面、デコは
「……よくは分からんが、そうそう簡単に問屋は降ろさないってことか! 俺の闘志は更に増してきたぞ~!」
更に気合を滾らせていました。

訳が分からぬまま次回へ続く…

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Castor and Porux 3

2006.12.19 - 駄文

これまでの話 → 

対峙する謎のジプシー、ヒデトシ・ナカータンと暗黒騎士カイト。
先に動き出したのはナカータンでした。
「ナカータン・ネット!」
ナカータンがひとたびネットを更新するや、無数のアクセスが押し寄せ、それが糸のように暗黒騎士カイトに絡まりました。暗黒騎士カイトは暗黒剣でザクザク切りますが、無数の糸を全部は切れず、ついにがんじがらめになってしまいました。
「……さあて、旅の時間だ」
ナカータンは身動きの取れない暗黒騎士カイトに次々とキラーパスを放ちました。受け手の立場を考えない強烈なパスにさすがの暗黒騎士カイトも痛そうです。
「…暗黒騎士カイト。剣に頼るからいけないのです。暗い情念を結実させた暗黒の業火で糸を焼いてしまいなさい」
「…御意」
人魚姫の命令を受けた暗黒騎士カイトが言われた通りにすると、たちまち糸が焼け落ちてしまいました。
「貴様、中々やってくれるではないか」
「……」
ナカータンは表情を崩さないものの、若干緊張が見て取れます。
「覚悟するがいい!」
と暗黒騎士カイトが暗黒剣を振るおうとしましたが、突然強烈なビーム砲が飛んできました。
「!!」
慌てて身を翻した暗黒騎士カイトがビームの飛んできた方向を見ると…
「追いついたぞ! 暗黒騎士カイト!」
「…ぜぇぜぇ。デコ、ちょっと待つぴょん。ボクタンは疲れたぴょん」
デコとサビオラタンが駆けてきていました。
「おっ、人魚姫だぴょん。久しぶりだぴょん」
サビオラタンは人魚姫を見てぴょんぴょんと跳ねましたが、人魚姫は無表情に、
「暗黒騎士カイト。あのウサギと冴えない男も倒してしまいなさい」
「ぴょん? 人魚姫、どうしたんだぴょん?」
「どうやら何者かに操られているらしいのだろう」
デコはスーパーになってやる気十分ですが、冷静な目も失っていませんでした。
「…御意。しかし、1対3はやや不利にございます」
『ならば私が手を貸しましょう』
突然、何もない空間からがちょう番の娘の声が聞こえてきました。そして、程なく空中から一人の男が現れました。その男、何と周囲に一〇枚以上の手鏡を配し、絶え間なく自らの髪型をチェックしている粋な奴でした。
「このパヌッチ。カイトの手助けをいたす」
「余計な奴だぴょん。おまえみたいな奴がボクタンのスピードに勝てると思うかぴょん」
サビオラタンは小刻みに動き、パヌッチの背後をとりました。
「チャンスだぴょん!」
後ろからパヌッチに飛び掛りましたが、そこにパヌッチの裏拳が飛んできました。
「痛いぴょ~ん!」
「フッ。俺はいつでも沢山の手鏡で自分の周囲を把握している。貴様みたいなウサギの考えることなどお見通しよ……おっと、後ろの髪型がちょっと乱れた。明日は美容院に行かないと」
パヌッチは櫛でサササと後ろの髪型を直して、再び向かい合います。
一方、暗黒騎士カイトと向かい合うデコとナカータン。
「ナカータン。ジャポンのローカルヒーローよ。俺はお前も頼りにしているぞ……お?」
「さて、俺は自分探しの旅を続けるか…」
デコが振り返ったその時、ちょうどナカータンは全く我関せずという様子で去ろうとしていました。
「待てい」
デコが憤然とナカータンの襟を掴みました。
「…俺は余計なことに首を突っ込む趣味はないんだ。行かせてくれ」
「そうはいかん!」
デコの目はぼうぼうと燃え滾っていました。その炎のような視線の先にある木が実際に炎をあげて燃えてしまうくらいにデコの気合は高まっていました(迷惑な奴だ)。
「分かるか? 俺のこのフツフツと湧き上がる闘志が」
「…一応分かるが、それは俺が戦う理由にならないって」
ナカータンはとてもやる気がなさそうでした。
一方、その間にもサビオラタンとパヌッチは遣り合っていましたが、全方位に鏡を配して動きが見えるパヌッチを前にサビオラタンは苦戦していました。
「ウサギ、貴様に勝ち目はない。だから我々のもとに来い。トッティちゃまも歓迎してくれるぞ」
「…トッティちゃま?」
パヌッチの言葉を聞いたナカータンの目が輝きました。
「…そうだ。俺はアイツに追い出されて流浪のジプシーとなる羽目になった。おのれトッティちゃま」
ナカータンの目が私怨に燃えました。彼はサングラスを掛けなおすと暗黒騎士カイトに向かい合います。
「気が変わった。共に戦おう」
「…引退したくせに偉そうだなぁ。ま、別にいいんだけどさ」

ナカータン、デコ、サビオラタンの変則3トップはカイト、パヌッチという変則コンビとどう戦うのでしょうか?

尚、レッズからはおそらくカイトだけです。ジェラードあたりはキャラが薄いので出しようがありません(笑)
ファウラーなら麻薬中毒者として出せるなんてちょこっと考えたりはしましたが(笑)

Castor and Porux 2

2006.12.18 - 駄文

これまでの話 → 

人魚姫を倒すか、圧倒的な力を持っている暗黒騎士カイトを倒すか…
「……ど、どうしよう」
人魚姫の妹、王子様、ロマン王が戸惑っていると、
「このあたりでは悪いことはできませんわ。もう少し大きな街を探しましょう」
人魚姫は三人を無視して暗黒騎士カイトとともに漆黒の馬をかり、それに乗って行ってしまいました。
「…とにかく、追いかけるしかない」
三人はいい方法を思いつかないまま追いかけていきました。こちらは徒歩なので移動速度が遅いです。

さて、残されたのがガブリエルでした。
「……僕はこのまま置いてけぼりか…」
死にはしなかったものの、傷だらけで動くことができません。
と、そこにやってくる者がいました。
「……むっ? 誰もいないのか」
デコがけげんな顔であたりを伺いました。
「どうやらもう移動していったようだぴょん」
「むむむ。バルサマンの行く手を阻むであろう暗黒騎士カイトを速めに叩いておけば、後々楽になると思っていたが空振りだったか」
「デコは考えることが悪賢いぴょん」
「ほっとけ。むっ?」
デコが倒れているガブリエルに気付きました。
「ガブリエル・ミリートだぴょん。こんなところで何しているぴょん?」
「…これだけ傷だられで倒れていて何をしているように見えるんだ?」
「それもそうだぴょん。やられてしまったぴょんね?」
「………」
「俺達は治療のための道具も持っていないしどうしようもない。気の毒だが見捨てていくぞ」
デコがそう言ってサビオラタンとともに王子様の屋敷を後にしようとすると…
「ぼ、僕と融合しろ」
「…ぴょん!? まだそんなことを言っているのかぴょん?」
「そういう意味じゃない! デコ、おまえはボコと合体することで最強の戦士となれるのだろう?」
「その通りだ」
「ボコというのは特定の固有人のことではない。相手にボコられて屈辱と再起に燃える戦士のことを言うんだ」
「…何?」
「おまえは近年、何かしらのタイトルを獲得してタイトルを渇望する意欲が薄れつつある(この話はフィクションです)…だからこそ、能力があるにもかかわらずタイトルを獲得することができない者の狂わんばかりの勝利への渇望を心に刻むことで更に強くなれるのだ」
「…なるほど。で、どうやって合体すればいい?」
「僕の手を取れ。後は僕がやる。もちろん、主導権はおまえが握れ」
デコは言われた通りにしました。ガブリエルが何か念を唱え、しばらくぼうっと光ったかと思うと、カッと光り輝き、しばらくするとガブリエルは消えていました。
「…ぴょん。どうなったのかぴょん?」
「フ、フフフフフ」
「…ぴょん?」
「こ、この力は何だ。ジッとしていてもフツフツと力と気合が湧き上がってくる!」
デコが芝生を踏むと、そのあまりの気合に芝生がジューと音をたてて焦げました。
「勝てる! これなら相手が誰であろうと勝てる! 俺はたった今、究極のパワーを手にしたのだ! ワハハハハハハー!」
デコはギューンと駆けていきました。
「うわー。ボクタンを置いていくなぴょん!」

一方、大きな街を目指している人魚姫と暗黒騎士カイト。
しばらくすると大きな街が見えてきました。
「あの街がいいでしょう。あの街を闇のヴェールで覆ってしまうのです」
「はっ」
と馬を駆らせた暗黒騎士カイトでしたが、突然馬を止めてしまいました。
「…どうしました?」
「あのジプシーが気になります」
なるほど、暗黒騎士カイトの言う通り、一人のサングラスをかけたジプシーがムエタイの練習をしておりました。
「特に私達に反対する者のようでは思えませぬが」
「仰るとおりです。しかし、僅かながら気になるものがあります。あまり大したことはないようですが、禍根の根は早いうちに断っておくべきかと思いますので」
「いいでしょう」
人魚姫が頷き、暗黒騎士カイトは謎のジプシーのところに向かいました。
「貴様に決闘を挑む」
ジプシーはとても面倒そうにカイトを見ました。
「何故? 俺はただ自分探しの旅をしているジプシーなのだが…」
「貴様には良からぬ雰囲気を感じる。それが理由だ。貴様は何者だ?」
「……」
ジプシーはサングラスを外してニヤリと笑いました。
「ヒデトシ・ナカータン」

Castor and Porux

2006.12.17 - 駄文

これまでの話 → 

さて、唐突ですが王子様と人魚姫は七度の航海によって大金持ちになっていました。そのお金を元手に、三人で羽振りのいい暮らしをしばらく過ごしていました。
しかし、そんな平穏な暮らしがいつまでも続くことはなくある日…
「王子様、襲撃者が来ました!」
「とうとうやってきたかい! そのうち来ると思っていたよ! さあさあさあ、出番だよ!」
「バカ王子、弱いくせに威勢だけはいいんだから」
と言いながら三人が一緒に外に出て行くと、屋敷の護衛達が二匹の蟹に蹴散らされていました。
蟹は人魚姫を見てニヤリと笑いました。
「やあ、人魚姫。決着をつけようじゃないか」
「あなた達はミリート兄弟!」
「あんた達マイナーのくせに出番多すぎ!」
「何を! 俺は現時点では得点ランクトップタイなんだぞ!」
「それはいいとして(いいのか?)、僕達は使命のために負けるわけにはいかないんだ!」
と、ミリート兄弟が飛び掛ってきました。迎え撃つのは王子様一人、極めて厳しい状況です。
「く~、いきなり頼るのもアレだけど…」
「頼るって何にですか?」
「え、え、な、何でもない。あっ! UFO!」
「えっ?」
人魚姫が視線をそらした隙をついて隠し持っていたハンマーで、ドッカーン…
「………」
「しまった!」
以前やられているミリート兄弟、当然人魚姫の変化に警戒心を抱き、王子様から離れました。
「ふ~、2対1だと厳しい。アタイ死ぬかと思ったよ」
人魚姫の周りに異様な空間が広がり、時折バチバチと火花が散っておりました。
「…出でよ。闇の眷属…」
人魚姫が抑揚のない声で呪文を唱えると、たちまち何も無い空間に均整の取れた真紅の戦士が現れました。
「な、何…あいつ?」
「どうやら、人魚姫の中の暗黒部分が肥大化し、それが独自の思念体として実現するに至ったらしいね。さしずめ、人魚姫の呼び出した『暗黒の騎士』というところでは。見た目は赤いけど」
「あ、暗黒の騎士?」
人魚姫の妹は冷や汗をタラリと。そんな彼女に目もくれず、人魚姫は虚ろな目で暗黒の騎士に声をかけました。
「よく来ました。暗黒騎士ディルク・カイト」
「何でカイト?」
「ディルク(dirk)は英語読みだとダークになるから、darkにかけて暗黒ってことなんじゃないの」
「あとはカイトとナイトってことなのね…」
周囲の囁きを他所に、人魚姫は命令を下します。
「あの二匹の蟹を始末しなさい」
「…御意」
暗黒騎士カイトはコクリと頷き、ミリート兄弟に切りかかりました。
そして暗黒の剣で瞬く間にガブリエルを倒してしまいました。
「うわ。凄い…そのくらいの凄い活躍をリヴァプールでもしてくれれば…今の活躍もガッカリだよ、というようなものではないけどね~」
「強~い」
「ク、クククク。僕はこのくらいでは…」
しかし、倒したと思ったガブリエルが即座に立ち上がりました。
「僕達の野心を達成するためには、このくらい!」
「だからあんた達、もう諦めなさいって」
「…カイト。あの蟹を再度倒すのです」
人魚姫が無表情に命令すると、暗黒騎士カイトはまたも頷き、ガブリエルをまた倒しました。が、ガブリエルはまた立ち上がります。
「すご~い。タフなんだ、あいつ…」
以下、同じことが繰り返されました。
「おのれ、ガブリエルを何度も何度も!」
怒ったディエゴが鋏をブンと振り回して、殴りかかりましたが、しかし、暗黒騎士カイトに返り討ちにされてしまいました。
「…グハッ」
「…兄さん!」
「う~、どうせアイツも立ち上がるんでしょ」
と諦めモードの人魚姫の妹ですが、ディエゴの方は一向に立ち上がる気配がありません。
「兄さん! 兄さん! 僕を置いていかないでくれ!」
とすがりつくガブリエル。
暗黒騎士カイトがそのガブリエルを後ろからザクザクと。
「ちょ、ちょっとお姉ちゃん。いくら何でも兄貴のことを心配している弟にそこまでしなくても…」
人魚姫の妹は姉に声をかけますが、姉は全くの無表情でした。
「…お姉ちゃん?」
全員の間に走る緊張感。
と、いきなり「いよ~っ!」という音頭がかかりました。
「パパンがパン。あ、それ、だ~れが殺した、クックロビン♪」

……

「アンタ何しに来た?」
二人の冷たい視線をロマン・アブラデリッチ王はまるで意に介しません。
「ニャン。何しに来たとは酷い言いようだな。お前たちのためになる情報を持ってきてやったというのに」
「だったら、場の緊張感を削ぐような登場の仕方はするな。で、情報というのは?」
「うむ。あの蟹の兄弟の話だ。どうやら、あの双子、双子でありながら片や不死身、片や有限という違いがあったようであるな」
ロマン王が偉そうに注釈を垂れました。
「ってことは、弟はいくら倒しても死なない。でも、兄貴は…」
「ニャンニャン。一度倒されるともうダメということだ。そして弟はなまじ不死身であるがゆえに、二度と再会することは叶わないという」
「うわ。嫌な奴だけどそれは可哀相…」
「しかし何とかする方法がないわけではない! 奴がドラゴンポールを集めて願いを叶えればよいのじゃ。しかし、ただ兄をよみがえらせればいいというものではない。それではまた兄は死んでしまうからな。弟も有限となり、一年のうちの半分を生界、残る半分を死界で暮らせばよいのだ」
「うんうん…」
「そして、首尾よく復活が叶った時にはあの二人は我がチェルシー王国に! 何せ我が王国では同性愛は完全に受容されているし、二人の血が繋がっているかどうかなど特に気にもしない。にゃはははは。来季はあの二人がチェルシー王国に加わり、我が王国はますます磐石になるのだ! ん?」
得意気なロマン王をガブリエルがちょんちょんとつつきました。
「勝手に移籍話を進めるのはいいんだけど、とりあえず僕を何とかしてくれ」
「うわ、随分やられた…っていうか現在進行形でやられているわね。ガブリエル」
不死身のガブリエルは暗黒騎士カイトに倒されては復活、の繰り返しでボロボロになっていました。
「そうそう! ロマンちゃん、お姉ちゃんが変になっちゃったの!」
「…ロマンちゃん」
ロマン王の周りにバラの花が飛び交いました。
「何ともいい響きじゃないか♪」
「とにかく、お姉ちゃんと暗黒騎士カイトをどうにかしないと」
「それは無理だ」
「む、無理ってどうして?」
「あの娘は何度も闇と触れているうちに自身が闇に捉われてしまった。ああなってはもうどうすることもできない」
「ええっ?」
「ガブリエル。おぬしはひとまず死んだふりをしておれ」
「……」
不平を言いながらもガブリエルはロマン王の言う通りに死んだフリをしました。すると暗黒騎士カイトは攻撃をやめ、人魚姫のところに戻ってきました。
「よくやりました。暗黒騎士カイト。次は子供を虐待しなさい」
「…な!」
一同が驚いている間に、暗黒騎士カイトは近くを歩いている幼児を捕まえました。
「ちょ、ちょっと!」
暗黒騎士カイトは変なお面をかぶりました。そして幼児を「なまはげー!!」と脅しています。
「ウワーン! 怖いよー!!」
幼児は怖くて泣き出しました。
「…何だ、怖がらせるだけか…って、それならいいって問題でもないけど」
「今はまだ良心回路が僅かに働いているから、あの程度で済んでいるのだろう。しかし、闇に取り込まれる度合いが強くなればなるほど、その素行が酷くなる可能性がある」
「…ゴクリ。じゃ、じゃあどうすればいいの?」
「方法は…人魚姫を倒すか、暗黒騎士カイトを倒すかの二つであろうニャー」
「ガーン! 暗黒騎士カイトは凄く強そうじゃん! 何でこんなことになったのよ」
「アンタが度々頭を叩いていたからだろ! こんなことになってガッカリだよ!」
「……あ、やっぱり?」

ガブリエルのドラゴンポール探しと復活~チェルシー王国への移住は当然別シリーズということで(笑)

Die Gansemagd 5

2006.12.13 - 駄文

これまでの話 → 
がちょう番の娘の話 → 

「タリラリラーのさよならなのらー」
トッティちゃまは話が終わるとにこやかに出て行きました。
「トッティちゃまとの話は終了しやしたか?」
と、タイミングを見図ったかのように二人の対照的な犬が物陰から現れました。一人はニヤニヤしていますが、もう一人は全く無表情です。
「おや、わざわざ隠れていたのですか?」
「ケケケケ。あの王子ちゃまはアタシを恨んでますんでねぇ」
ニヤニヤした方の男、ポール・センが指をパチンと鳴らしていいました。
「逆恨みってヤツなんですよね。ケケケケ」
ポール・センは以前大きな試合でトッティちゃまを散々いじめて、彼を破滅に導いたことがあるのです。
「ポール・セン、貴方は勝利のためなら手段を選ばぬ犬です。私は貴方のような犬は好きですよ」
「お褒めに預かり光栄でやんすね。実はこんないい武器も手に入れたんでやんす。これを使えば相手のエースの足を文字通り削ることができるでやんす」
ポール・センは先端から釘の飛び出たスパイクを取り出しました。
「……退場になるのでやめなさい」
がちょう番の娘は即座にボッシュートしました。

つま先くぎ男、有罪で靴没収=「女性の脚けり満足」-東京地裁(時事通信)

「およよよ。これがあればロナ●ジーニョもファン・ニ●テルローイもイチコロだと思ったでやんすが…」
「それよりも、ポール・セン。人魚姫達を呼び寄せる罠の方はできていますか?」
「そちらの方は準備万端でやんす。でも、こんな感じで相手陣営の話を進めていれば、ますます話が間延びするのが気になるでやんすが」
「逆です。シンドバッドにちなんで七回も航海されたのではいい加減マンネリ化してしまいます」
「というか、既にマンネリ化しているでやんす~」
「その通りです。ですからこうやって、他陣営の話に振ることで、『こっちで話が進んでいるうちに残りの航海は終わったの』ということにしてしまいたいのです。一応、最後までの道筋はできていますので、やる気がある内に終わらせたいのですよ」
「ケケケケケ。そうでやんしたか」
「さて、ボルヘッティ。貴方の方はどうですか? 相変わらず足技はダメなようですね」
「…足なんて飾りだ。偉い人間にはそれが分からぬのだよ」
「そうですか。まあいいでしょう」
「…で、用件を聞こう」
「ええ、最後のケリをつけるべく、歴史関係の資料をあさっていたら、スペシャルルールなサッカーを見つけ出しました。本来貴方が出る予定など微塵もなかったのですが、たまたま貴方の母国メキシコの近くのホンジュラスなので、急遽登場ということになったのです」
「…ホンジュラスなら、ホンジュラスのプロを使えばよかろう」
「ダビド・スアソを出すと制御不能となりますから」
「……まあいい。それで、ホンジュラスのどこだ?」
「コパン遺跡です」
「…コパン? ま、まさか?」
無表情なボルヘッティの表情が少しだけ険しくなりました。
「そうです。勝者は讃えられ、敗者は生贄に処せられるという究極の勝利至上主義なサッカーのことを言っているのです」
「…ま、一時期のイラクなんかもそうでやんしたけどね~。こんなところでサッカーやらされたら、華麗な攻めがどうこうとかファンタジスタなんてことは言ってられないでやんす。ケケケケ、あっしみたいなのが陽の目を浴びる場所なのかもしれないでやんすね」
「ポール・セン、貴方と話をしているのではありません。そこでボルヘッティ。貴方にはその儀式を再来させるべく発ってほしいのです。よろしいですね?」
「…報酬が振り込まれているのを確認し次第、仕事に移る」
「頼りにしていますよ」
「ケケケケケ」「………」
二人は下がっていきました。

さて、二人が下がると月と通信を結びました。
「かぐや姫、生きていますか?」
「…いい挨拶してくれるじゃない」
かぐや姫は不機嫌そうに答えました。
「昨日の深夜に、誰かさんがMXテレビで『夜明け前より瑠璃色な』と『銀色のオリンシス』という月が出てくるアニメを見ていただけに、あるいはクーデタで話が変わっているのではないと心配していたのですよ」
「ググッ…あいつ、深夜に何やってんだか…」
「まあ、たまたま見ただけなのでストーリーの流れを理解できていなかったのが幸いだったようですけれど」
「どうだっていいのよ!」
「はいはい、貴女もそろそろ出番ですので、準備しておいてくださいな。せっかく揃えたのに大量離脱なんてことにはならないように」

浦和の敵はノロウイルス…主力離脱、天皇杯連覇ピンチ(スポーツ報知)

「了解。天に仇なす不埒なヤツは、月にかわっておしおきよ!」

ポール・セン、マイナーですが何となく作ってみると、「もっと早く作ればよかった」と後悔していたり…

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