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このエントリはフィクションであり、実在の人物・団体とは関係ありません。
「チャンピオンズ・リーグ。そこで大活躍をすれば俺様もいつかバロンドールを…」
「あの、ズラタン?」
「何だ? 人魚姫」
「貴方はチャンピオンズリーグでも敗退してしまったはずですが…」
「何ぃぃぃ!? 何故だ、何故負けてしまったのだ!?」
どうやらズラタンはお約束でまたも自分に都合の悪いことは忘れていたようです。
(いや、貴方が不発だったから…と言いたいけど、暴れられるのも怖いし)
「おお、負け犬ではないか」
「ぬお!? 貴様は妖術師ジョゼ? 悪辣な奴め。何しに来た?」
「カカカカカ。負け犬の遠吠えは気持ちよいわ。しかも、余を裏切った負け犬となれば尚更のう…」
妖術師ジョゼは自信満々に腕組みしながらズラタンを見下ろしていました。
「ぐぬぬぬぬぬ」
「あ、あの、喧嘩はやめましょう」
人魚姫が自信なさげに割って入ります。
「時にズラタン。貴様練習のない日にはワールドカップ参加国の様子を見て回っているそうではないか」
「ああ、そこの人魚姫とな」
「余も興味がある。ついて行こう」
「えっ、練習とかはいいんですか?」
人魚姫の質問に、妖術師ジョゼはふんぞりかえって答えました。
「問題ない。妖術で分身を作り出して、練習指導を任せている。余はそうやって時間を作り、日々上を目指すことを忘れていないのだ。例えば…」
妖術師ジョゼは腕組みをしたまま膝からスライディングしました。
「こんなこととか」
次いで、人差し指を立てながら、走り出しました。
「こんなことをやれば、いかにもカッコいいだろう」
「時間作ってやることがそれかよ」
「ま、それも余の時間の使い方の一環だ。だが、今はフランスに興味を抱いている」
「フランス?」
「フランスには占星術師ダメネク…もといドメネクがいる。余の妖術とは毛色が違うが、勝つための神秘的な方法として、余は占星術に興味がある。そこでドメネクのことを研究したいのだ」
「あんな奴研究してどうなんだ? フランスなんてボロボロじゃねえか」
ズラタンの傲慢な物言いは気になるものの、人魚姫も同感でした。
「余は本物だ。本物は本物を知る。奴は本物だ。考えても見よ。奴はユーロの時は婚約者へのプロポーズのことだけを考えていた。優勝してプロポーズするのはカッコいいが、それは星の巡りがよすぎて、将来に禍根を残す。だから、奴は敢えてめぐりを悪くしてプロポーズしたのだ」
「そんなものなんですか?」
「そしてワールドカップ予選は奴の天邪鬼ぶりの真骨頂が現れている。考えてもみよ。奴の相手だったアイルランドの監督はトラパットーニだ。勝つこと以外に何の楽しみも見出さず、勝つためには手段を選ばないような奴だ。そんな相手に対し、よりエゲつない勝つためのみのやり方で勝ったのだから、ドメネクの星の強さたるやハンパではない」
「そんなものなのか?」
「そんなものだ。とにかく探しに行こう」
こうして、妖術師ジョゼの先導の下、2人と一匹?はフランスへと向かいました。
展開が早いですが、一行はドメネクがいるという塔の場所を突き止めました。そこは野蛮な徒が襲撃してこないよう万全の防護体勢のしかれている塔でした。
塔についてみると、何やら不気味な雰囲気が漂っています。
「ふむぅ。この邪気。ドメネクは儀式中のようだな」
「街でドメネクは門外不出の儀式を行っているという噂を聞きました」
「そう言われるとどうしても覗いてみたくなるな」
「ズラタン、貴様!」
妖術師ジョゼがズラタンの胸倉を掴みました。
「野郎!? 何をする」
「監督の門外不出の儀を覗き見ようなど、その監督を世間から抹殺するに等しい! そんな非道なこと、この妖術師ジョゼは…」
(悪そうに見えて、同業者のプライドは守るんですね。すごい人だ)
人魚姫は妖術師ジョゼを尊敬しそうになりました。
「この妖術師ジョゼ、100%賛成する!」
「ズコー!」
「だったら何で俺様に喧嘩を売りやがる!?」
「いや、余より先に発言したのが気にいらなかっただけだ。しかし…」
妖術師ジョゼは塔を一通り眺めました。
「入口がないな」
次いで上を見上げました。
「5メートルほどのところに一応窓がある」
「しかし、よじ上るにはつかむようなところがない。ズラタン、貴様の跳躍力で何とかなるか?」
「さすがにあの高さだとな…」
「ならば方法は一つしかないな」
3分後。
「ぐぬぬぬぬぬ。に、人魚姫、早く上りやがれ」
ズラタンが苦しそうに呻きました。
5メートルの高さまで伸びるのは簡単ではありません。そのため、ズラタンの肩の上に妖術師ジョゼが上り、そして、その上に人魚姫が上って、何とか窓にしがみつこうとしていたのです。
もちろん、ズラタンは嫌がりましたが、妖術師ジョゼの「体重とフィジカルを考えれば結果は火を見るより明らかだ」という言葉と、「それともズラタン、貴様の体力は余と人魚姫も支えられないほどの代物か?」という挑発に乗ってしまったのでした。
「も、もう少し…つ、つかまった」
人魚姫はようやく窓をつかみ、そろりと中を覗きます。
部屋の中は色々なものが散らばっていて、先が見えませんでした。しかし、視界を塞ぐ本棚の向こうから何やら呪術のような言葉が聞こえてきます。
「とりあえず調べてみます」
人魚姫は中に入りました。
「こらジョゼ。貴様妖術師のくせに5メートル程度の高さをどうにかすることもできんのか?」
「ふん。愚かなことを」
「何だと!?」
「いいか。相手は並の相手ではない。名うての占星術師だ。妖術を使えばバレて全てが無に帰しかねない。ズラタン、貴様もドメネクが何をしているか知りたいだろう?」
「むう。それは確かに」
「それに、余が調べてバレれば大スキャンダルになりかねないが、人魚姫が忍び込んでバレたのなら、『全部人魚姫がやったことです』とトカゲの尻尾きりで事は片付く」
「なるほど。さすがに貴様は頭がいいな」
「フン」
妖術師ジョゼは自信満々に腕組みをしました。
さて、忍び込んだ人魚姫は本棚の陰から部屋の真ん中を覗きました。
そこには魔方陣の中、一心不乱に水晶球に向かって祈りを捧げている占星術師ドメネクの姿がありました。
「オン・ベイシラ・マンダヤ・ソワカ。エーメン。ナムミョウホウレンゲキョウ。アッラーフ・アクバル」
「こちら現場の人魚姫。何だか分かりませんが…ものすごい執念を感じます」
おお、自由よ。汝の名の下に、いかに多くの罪が犯されてきたことか。
我が巨人軍は永久に不滅です。
1万と2千年前からア・イ・シ・テ・ル!!!!
占星術師ドメネクの詠唱が終わると、水晶がパアッと輝きました。
「おおお! これがフランスが優勝するために必要なこと…!」
「えっ、えっ?」
覗き見はよくないと分かっていても、そんなことを言われると人魚姫も気になってしまいます。つい水晶を見ようと物陰から顔を覗かせました。
「こ、これがフランスが優勝するための…!?」
「むっ! 何奴!?」
ついつい大きな声を出してしまい、ドメネクにバレてしまいました。
「しまった!」
人魚姫は慌てて物陰に潜みます。と、ダダダダダと銃声が響き、本棚が激しく揺さぶられます。
「こ、殺す気ですか!?」
「フランスの優勝のための情報を見知った貴様を、生かしておくわけにはいかぬ!」
ドメネクは更にマシンガンを乱射しようとしましたが、カチカチと音が響くだけです。
「ぬぅ!? 故障か」
(助かった~)
「ええい、ならばこのジダン爆弾を…」
「ジダン爆弾? 時限じゃなくて?」
といぶかしんでいる人魚姫のすぐ前にジダンの顔が描かれたボールのようなものが落ちてきました。そのジダンの顔がニカッと笑います。
「すっごい怖い~!!!」
理由はないのですが、人魚姫はものすごい危険な雰囲気を感じ取り、脱兎のごとく窓から飛び降りようとしました。
次の瞬間、ジダン爆弾がドカーンと爆発しました。
「あ~れ~~っ!」
人魚姫は辛うじて爆発の被害から逃れましたが、爆風を受けてそのまま窓の向こうへと飛ばされてしまいました。
ドメネクが見出したフランスが優勝するために必要なものとは何だったのでしょう。
それは神のみぞ知る、のでしょうか。
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このエントリはフィクションであり、実在の人物及び団体とは関係ありません。
ついでに大半の部分はパロディです。
イタリア・ミラノ。
かつてこの地で、神の教えを伝導している戦う聖職者がいた。
「神を信じなさい。そうすれば私達は救われます」
「おお、この戦力なのにチャンピオンズリーグで優勝できた」
「これだけベテランばかりなのに、中々チームが衰えないぞ」
その戦う聖職者の名はカカーと言った。人々は彼らを「赤い甲冑をまとった聖職者」と称した。
ちなみにカカーが実際に信仰しているのはプロテスタント系らしい。宗派に詳しくないので、あまりよく分からないけれど。
場所は変わってマドリード。
人魚姫の妹カイと、真紅の騎士カイトは何故かこの地にやってきていました。
「ここにカカーが布教の旅に来たというわけね」
「はい、姫様」
「ワールドカップを掲げるのはスペインかブラジルという説が強い。ブラジルの中心たるカカーはしっかりチェックしなければならないわ」
「姫様、私も候補になりたいです」
「ちょっち無理じゃない?」
相変わらず妹のカイは人魚姫と比べると歯に衣着せぬ物言いの性格をしていました。
「お、噂をすれば」
二人は甲冑を着た聖職者カカーを見つけました。
「でも、何かやつれてない?」
「教会に向かうようですね」
「ついていくわよ」
二人は甲冑を着た聖職者カカーについて教会に入りました。
「ああ、神様…このマドリードは何てすさんでいるのでしょう」
カカーは悲しそうに告解をしていました。
2009年・秋。
「皆さん、神を信じましょう」
希望に満ち満ちた様子で、甲冑を着た聖職者カカーは布教に励んでいました。スペインはローマ法王庁こそありませんが、こてこてのキリスト教国。カカーは希望に満ちていました。
しかし。
「神? 俺たちは身も心も白いから、そんなの信じなくても天国に行けるもん」
「…なっ!」
紅白の男セルヒオ・ラモスに口答えされ、甲冑を着た聖職者カカーはショックを受けました。
(貴様のユニフォームは、血塗られて真っ赤に染まりつつあるじゃないか)
なんて思ったりもしましたが(S・ラモスはクラブ史上最高のペースでレッドカードを貰っている)、もちろん、神を信じる彼はそんな他人を攻撃するような言葉など吐けるはずもありません。
(まずは上層部から信心深くさせないと)
甲冑を着た聖職者カカーはそう思いなおし、王様のペレスのところに行きました。
「王様、神を信じましょう」
「神? 神が何をしてくれるか? 何かをしてくれるのは神ではなく、金。マネーなのだよ」
「…す、すさんでいる!」
甲冑を着た聖職者カカーはガッカリしました。
そう、このスペインではほとんどの人間が「相手を痛めつける攻撃こそ最高」という邪教を信じるか、金を信奉していたのです。博愛を重んじる甲冑を着た聖職者カカーの意見に賛同する者はほとんどいませんでした。
「やぁ、カカー」
と、甲冑を着た聖職者カカーは後ろから声をかけられました。
それは甲冑を着た聖職者カカーと同じく特別待遇でマドリードにやってきていたクリスティアーノ・ロナウドでした。
「どうしたんだ? 暗いじゃないか?」
「誰も神を信じようとしないのが、僕には信じられないんだ」
甲冑を着た聖職者カカーは同じ特別待遇の縁もあることから、ついつい気軽に言いました。
「神か。なるほど、神か…」
「ロナウド、君も協力してくれないだろうか?」
「別に構わないよ」
「本当かい?」
甲冑を着た聖職者カカーは喜びました。しかし、ロナウドはニヤリと笑います。
「この天才ロナウド様を止めることができたらね!」
そう言い出すとロナウドは眼を輝かせながらドリブルを始めました。
「ドリブル、ドリブル楽しいな~誰が守備なんかやるもんか~♪」
「くぅ、あんな奴に期待したのが間違いだった」
元々赤い悪魔を崇拝していて、お金と白い免罪符につられてマドリードにやってきたロナウドに神を信仰しろという方が無理というものです。
「神よ。私はどうしたらいいのでしょう」
甲冑を着た聖職者カカーは神に救いを求めていました。
「どうやら布教がうまくいっていなくてスランプみたいね。きっと甲冑を着た聖職者カカーの力の源泉は神に対する信仰心なのよ。信仰心のないところでは活躍できないんだわ」
「む…?」
真紅の騎士カイトが近づいてくる気配に気付きました。
「甲冑を着た聖職者カカーよ。おまえもまた信仰心に苦しむ者であるか」
「あ、貴方は…」
「ま、まさかスペインに仏が…?」
物陰にいるカイも驚いていました。それはスペインにただ一人いる仏様リトルブッダことデラ・ペーニャだったのです。
「甲冑を着た聖職者カカーよ。今、スペインでは人々が邪教に心奪われている」
「ぬぅ…私は仏教徒ではありませんが、それは全く仰るとおりかと思います」
「このままでは、おまえの布教への望みは頓挫することになる」
「どうすればいいのでしょう?」
「無論、今のまま布教を続けていくというのも一つの手ではあるが、一番いい方法は、邪教の親玉同士をぶつけて共倒れにしてしまうことだ」
「邪教の親玉…?」
「子獅子のメッチーと、ロナウド。この二人がいなくなれば、人々の信仰心は多いに高まるはずだ」
「なるほど…」
「…う~む、デラ・ペーニャがモノホン以上に悪辣な陰謀を甲冑を着た聖職者カカーに吹き込んでいるわ」
「しかし、ロナウドとメッチーが潰しあう分には、あまりワールドカップに影響しないような気が…」
無論、そんなことは思っていても言ってはいけない。
光武28将ときたので、次は凌煙閣二十四功臣+α、つまり唐の太宗の時代からということで。
今回もフロントありでも作れなくもないですが、光武28の時と同じくピッチ上の11人ということで。当然太宗李世民と長孫皇后が入らないのも光武帝の時と同じ。24までの背番号は史実の序列に即していますが、今回の長孫無忌はGKが出来そうなので1番がボランチということはならずにすみました。
光武帝のチームはやや武闘派が多い気がしますが、太宗チームはより知的な人物が多い印象。
ただし、やはり武官の方がピッチには立ちやすいということで、杜如晦と魏徴が入れないという中々大変なことになってしまいました。フロントありなら間違いなく監督とHC(房玄齢もフロントに入るだろうけれど)でしょう。
当然、光武帝軍団とどちらが強いかということになりますが、こちらの方が強いかなぁと。両SBは主に高宗代に活躍した人で、一応太宗時代から頭角自体は現しているということでユース上がりみたいな形で入れているわけですが(笑)、この二人がいる分光武帝軍団より強そうな印象です。知名度はともかくそのまま全中国史と戦っても遜色なさそうな印象。
あとは玄奘という反則技もありますし、何よりCFの呉漢と李靖でも李靖の方がやはり上でしょうし(というより、李靖より上を探すのは全世界史からでも何人いるんだってレベルなので比較されるのは呉漢にとってあまりに可哀相…あるいは李靖にとって失礼かも)。
8
24 7
23
5 30
29 25 19 28
1
|
1 長孫無忌
19 程知節
25 張士貴
28 蘇定方
29 薛仁貴
5 房玄齢
23 李勣
30 玄奘
7 尉遅恭
8 李靖
24 秦叔宝 |
評価:攻撃115 守備95 戦術105 チームワーク75
万能の天才李靖、1対1なら無敵の尉遅恭、秦叔宝は中国全史相手でも通用しうる最強3トップで、李勣を加えた攻撃陣が織り成す攻撃は脅威の一言。薛仁貴のセットプレーも恐ろしい。
守備陣は体力よりも頭脳を活かす面々が多いので、戦術眼と体力を備えた攻撃陣を相手にしたときにはやや苦戦するが、あくまでややという程度(もちろんヤヤ・トゥーレとは何の関係もない)。しかも一旦ボールをもつと正確な組み立てで最強攻撃陣をサポートするので性質が悪い。
長孫無忌(A+) 地味だが役割はきちんと果たす。ただ、実力以上に発言力が強すぎるために反感をもたれることも多い。
張士貴(S) DFだが針の穴を通すような正確なキックを誇る。
程地節(S) 強さに速さも併せ持ち、どんな局面でもゴールを死守しようとするタフなDF。攻撃力も非凡なものがあり、セットプレーの時の重要な得点源。
薛仁貴(S) 数的不利になっても動じることなく、また田んぼのようなぬかるんだピッチでますます守備の意欲を増すという頼もしさ抜群のDF。また、その正確なキックは比類なく、セットプレーを任されている。
蘇定方(S) 太宗時代はユースから上がってきたばかりだが、広いスペースの上下動を量も質も高い次元でこなす。
房玄齢(SS) フィジカルは平凡だが、戦術眼に長けている。主審の目の届かないところで悪質なプレーを連発して負傷退場させるのも得意。
李勣(SS) 粘り強さと意外性を兼ね備え、攻守に貢献できる質の高さが魅力的。息の長さも魅力だが、ピッチ外にはフロントに阿ってしまい、チームの和を乱すことも。
玄奘(SS) どんな困難な状況でも決してくじけず、傑出した身体能力に抜群の頭脳、優れたキャプテンシーを見せつけ中盤を支配する。さすがに孫悟空とかを使ったりはしない(笑)
尉遅恭(S) 技術、フィジカルともに最高級で一対一では無敵。無類の突破力を誇る。が、ガツガツしたところ少なく、ゴールへの意欲はやや低い。仙人になることを夢見ており、たまにブッ飛んだ発言をするのが玉に瑕。
李靖(SSS) 単独突破もあれば、中であわせることもでき、ミドルシュートからでも点を取れる万能FW。ただし性格が剛直なので、中々使いづらい。
秦叔宝(S) 1対1の強さは逆サイドの尉遅恭にも負けない。尉遅恭よりゴールへの意欲も守備への意欲も高いが、ハンパない運動量でがんばりすぎる影響でケガが多い。
このエントリはフィクションであり、実在の人物及び団体とは関係ありません。
ついでに大半の部分はパロディです。
「奴…そう、ロシア産の孤高の暴君も結局ワールドカップの舞台に立つことはできなかった」
「グオオオォォォォッ!」
「うわっ! びっくりした!」
獰猛な唸り声にズラタンが思わず一歩後ずさります。そこには、ズラタンはまだ直接対決をしたことのない獰猛なヒグマがいました。
「俺もワールドカップに出たかったよーグオオォォォン」
「泣くな、アルシャーフィン」
「本物はそんなにでかくないのに、ヒグマかい」
「ロシアだし」
「しかし、アルシャーフィンやジルコフ、白熊王子が出られないというのもまたワールドカップとは恐ろしい高みであることを意味している」
「白熊王子?」
もちろんパブリュチェンコのことである。
「ぐおおおおおん!」
「アルシャーフィンはかつては凄い実力者ではあるものの、荒くれ者ということで通っていた」
以下、またまたシェフのチェンコの回想。
「ぐおおおおん!」
「うわー! アルシャーフィンが暴れてるー!」
「ぐおおおおん! どうして2試合出場停止なんだぁ! これじゃこの天才アルシャーフィンが出る間もなくグループリーグが終わってしまうではないか!」
「おまえがいない2試合は俺達が頑張るから!」
「信じられるかー!」
アルシャーフィン、腹いせにボールを遠くまでぶん投げると川でサーモンを乱獲しはじめる。
「クロマグロも全部食べてやる!」
「うわー! やめろ。そうでなくても地中海では数が減ってるっていうのに」
「ぐおおおおっ!」
暴れまわるアルシャーフィンの前に、一人の顎がたぷたぷした男が現れる。
「君…」
「ぐお?」
男、アルシャーフィンが投げ飛ばしたボールを拾う。
「諦めたら、そこで試合終了だよ」
「…!!」
「こうして、アルシャーフィンはヒディンクの言葉を聞いて一念発起し、ユーロで母国をベスト4まで導く原動力となった」
「何か今回のシェフのチェンコさん、解説役多いですね」
「引退寸前だからな」
ズラタンの言葉にシェフのチェンコがジロリと睨みます。
「…そこの犬、何か言ったか?」
と言いつつ、シェフのチェンコの回想がさらに続く。
「…ドイツは手強い」
「ハッハッハ。心配するなオヤジ。この天才アルシャーフィンがいれば、ドイツごとき」
アルシャーフィン、ヒディンクの下あごのたるみのあたりをたぷたぷと触る。それを見たジルコフらが怯える。
「うわぁぁぁ、あのヒディンクさんの下あごをあんな気軽に…」
「むむむ。さすがにアルシャーフィン、恐るべきヒグマだ」
怪盗アンデスが戦慄に慄いている様子に、シェフのチェンコが頷きます。
「しかし、ワールドカップはユーロのように甘くはなかった。特に今回はトール・ハンマーが炸裂してしまったからな」
「トール・ハンマー?」
「ああ、アーセナルのヴェンゲルがあまりに悪さをするもんだから…」
またまた回想。
ヴェンゲル氏「フェロー諸島なんかとAマッチをすることに意義があるとは思わないね。あんな弱いちんちくりんはちんちくりん同士で試合をすべきで、ウチの動物を貸したくないな」
別の時には。
ヴェンゲル氏「何じゃとー!? ウォルコットをU21に貸せじゃあ!? ウォルコットはフル代表にも出とんのに何考えて物ぬかしとんじゃあ! これ以上ゴタゴタぬかすと、ケツの穴から手ぇ突っ込んで奥歯ガタガタ言わせたるぞ!」
「怖いですね」
「そんな悪さばかりしているものだから、神様が怒ってアーセナルにいるみんなを表舞台から追い出すことにしたんだ。アーセナル動物園の面々をよく見たまえ。表舞台で脚光を浴びているのはほとんどいない。セスクですら、レギュラー候補の一人に過ぎないのだからね」
「ふむぅ。ロシツキーとかアルシャーフィンとかヴェルメーレンとかは出られない。アルムニアは国籍を替えて出たいと主張したのに却下されてしまった。出られてもナスリみたいにレギュラーにもなれないのが多い」
「ラムジーやエドゥアルドみたいに本人がやられてしまったケースもある。結局、代表に選手を貸すことに否定的だから、それがめぐりめぐっているということなのだろう」
「ぐおおおおん! ぐおおおおおん!」
「しかし、ズラタンやシェフチェンコに比べてもアルシャーフィンの嘆きっぷりは凄いな」
「それはまあ、ワールドカップに出られないのもあるが…」
「ヒディンク先生、何で湘北ロシアを出て行くんですか!?」
「うーん…」
「しかもトルコみたいな変なところに! そんな道楽みたいなことを」
「道楽か。そうかもしれんね。だが、私はね、ひたむきな選手達が練習して、日一日と成長がはっきりと見てとれる。それがこの上ない楽しみなんだよ」
「先生が先生がいなくなったらロシアは…」
「いや、君達は私がいなくても大丈夫だ。もうそろそろ自分を信じていい頃だ。今の君達はもう十分にあの頃を超えているよ」
「あらら、ヒディンク先生は出て行ったんですね」
「今頃イルドゥリムとカラデニズが私を待っている、とかいいながら、トルコ行進曲を聞いているんだろうな」
「ぐおおおおん!」
と、何となくヒディンクの下あごは安西先生のそれと似ているなーと思っていたりしたわけです(笑)
このエントリはフィクションであり、実在の人物及び団体とは関係ありません。
ついでに大半の部分はパロディです。
我々はこの猛犬を知っている!
いや! この傲慢な眼差しと、巨体に似合わぬ柔軟さを知っている!
「ワオォーーーン!!
今日も遠吠えが快調だ。俺様カッコいいなぁ。。。。…ワールドカップ。俺様が活躍するにふさわしい舞台だ。そこで活躍して、バロンドールを…」
「あの。。。ズラタン…」
「む? おまえは人魚姫?」
「貴方はワールドカップには出られないはずですが」
「ガーン!!」
「……」
「な、何故だ。何故俺様がワールドカップに出ることができないのだ!?」
「いや、だって予選で敗退しましたし」
「予選で敗退? 馬鹿な俺様には負けたなんていう記憶はこれっぽっちも…」
本気で頭を抱えているズラタン。どうやら自分に都合の悪い記憶は全て脳内から消去されているようです。
「…どうしてだ? どうして負けたのだ? 俺様の知らないところで予選が進んでいたとでも…そうだ! ラーゲルベックだ! あのとんちきんが俺様に黙って、勝手に試合を進めていたに違いない!」
「……」
「どうした人魚姫? その、『何を言ったらいいのか分からない』というような顔つきは?」
「いや、だって本当に何を言ったらいいのか分かりませんので」
「ぬぬぬぬぅぅぅ、俺様の子分たる人魚姫にまで哀れみの視線を向けられるとは…」
「別に哀れんでいるわけでは」
「だが、だがだがだが! 俺様は本当に思い出せん! どうして俺様がワールドカップに出られないのだ!」
「だったら思い出させてやろう!」
「むっ!?」
バルセロナの高台の上に何故だか妙な格好をした犬が…
「貴方は、怪盗アンデシュ(ス)!」
「とう! もうトウを超しそうだけど、怪盗アンデスはまだまだ健在だ」
「今年初めのFKは、あのアルゼンチン人の希望を奪い取った頃を思い出させるものでしたね」
「ありがとう人魚姫。そしてズラタン! 思い出させてやろう! 何故に我々はワールドカップに出ることができないのかを! 是を見るがいい!」
2010・ワールドカップ予選・スウェーデン代表戦績
対アルバニア 0-0
対ハンガリー 2-1 得点者:キム、ホルメン
対ポルトガル 0-0
対ポルトガル 0-0
対デンマーク 0-1
対マルタ 4-0 得点者:キム、マイストロ、ズラタン、ベリ
対ハンガリー 2-1 得点者:メルベリ、ズラタン
対マルタ 1-0 得点者:OG
対デンマーク 0-1
対アルバニア 4-1 得点者:メルベリ2、ベリ、怪盗アンデス
「ぬおっ!?」
「分かるか!? ほとんどの試合に出ておきながら、2点しか取れなかった期待はずれがいたのが全ての元凶なのだ! まあ、エルマンデルが1点も取れなかったのもでかいが」
「おおおお、俺様はまるで覚えていない。そんな記憶は全くないぞぉぉぉ!」
ズラタンは頭を抱えながらもあくまでも否定しています。
「何だかどこかの国の政治家みたいですね…」
「時が、時が戻るのならば、俺様はまた活躍してみせるというのに」
「時を戻すのは不可能だ。止めることならできるがな」
「むっ!?」
怪盗アンデスのものではない声がどこからかしました。ズラタンとアンデスはそれぞれ辺りを見渡します。すると、地中海をえっさえっさと漕ぐ一艘のカヌーがありました。
「おまえは…」
「貴様は!?」
「貴方は…!?」
「えーっと、どちら様だったでしょうか?」
「シェフのチェンコだ!」
シェフのチェンコは怒って、カヌーをすぐに漕いで近づいてきました。途中ザ・アローで時間を止めていたかもしれませんが、まあ、それは気にしないということで。
「去年キイウに戻っただけで、もう過去の人扱いになるのか!」
「いや~、でも、あのシリーズが終焉して以降、あんた終わっちゃったし…」
「怪盗アンデスに言われたくないわい!」
「それでシェフチェンコ、貴様もワールドカップに出られないという噂を聞いたぞ」
ズラタンの言葉に人魚姫が首を傾げます。
「人のことは分かっているのに、どうして自分のことは覚えてないんでしょうか…?」
「それがズタランテイストだから」
アンデスの言葉に頷く人魚姫でした。
「なあなあみんな」
「何ですか? シェフチェンコさん」
「だからシェフチェンコちゃう。シェフのチェンコ。ゴールの料理人なんだよ」
「…で、何か話をしたいのですか?」
「うむ。俺っちはさすがに歳で時を止められる時間も短くなっていた。それでも、ギリシアなんかに負けるとは思っていなかった。ギリシアなんかに…」
以下、シェフのチェンコの回想。
「よしミノフスキー! ミノフスキー粒子をばら撒くんだ!」
「アイアイサー…って僕はミレフスキだ!」
とか言いつつミノフスキーが電波妨害をする粒子を大量にばら撒き、ギリシアDF陣のレーダーを妨害します。
「ザ・アロー!」
「…!?」
「フフフフフ。この俺が時を止めた。若い時のように5秒6秒と止めることはできないが、ゴールというディナーを仕立てるには1秒止めれば十分…!?」
余裕綽綽だったシェフのチェンコはしかし、すぐに驚愕しました。何とシェフのチェンコとゴールとの間にはどこまでも、どの方向にも石像のような筋骨逞しいギリシアDFが並んでいたのです。
「こ、これではどこに動いてもゴールできん。あっ」
戸惑っている間に時が動き出してしまいました。
「潰す!」
「グハッ。こ、この俺っちが敗北の味を知ってしまうとは…」
回想終わり。
「ということで、とにかくギリシアの守備陣は並び続けるモアイ像のように恐ろしいものだった。きっとアルゼンチンやナイジェリアの連中も苦しむはずだ。それはいいとして、時を止めることのできる俺でもワールドカップに行き着くことはできなかった。時が戻ることももちろんない。だから」
「だから?」
「これは運命なのだ。俺が負けたのも、おまえが負けたのも。そして奴が負けたのも」
「奴って…?」
「それは…いい加減長くなったので次回に続く」
「勝手に振るな」
ということで、3年も昔のシリーズが唐突に復活したらしい。
海外ものはワールドカップまで、これで行く…
…なんてことはもちろんないかと思いますが、適当にネタ的なものとして続く可能性はありそうです(笑)
しかし、よくよく考えると人魚姫とズラタンのコンビって実はデンマークとスウェーデンってことで、あのシリーズ終わって以降は何気に直接対決が続いていた…わけですな(苦笑)