川の果ての更に果てに

イラクのサッダーム・フセイン元大統領の死刑が執行されたそうです。
まあ、確定時から年内執行が噂されていましたし（2007年のスタートから「脱フセイン」を宣言したかったなんてのもあるでしょうね）、スンニ派の最高聖職者に許可（30日はスンニ派の行事があるので許可が必要だったとか）をもらったという話もありましたから、ある程度そうなることは見えていましたけれどね。

しかし、11月に最初の判決が出てから２ヶ月も経たずということで随分急ピッチではありましたね。ま、執行するなら、ペンディングな状態にして不安定にするよりも蛮勇であっても早めにはっきりさせておく方がいいのかもしれませんけれど。長々続けたとしても公明正大な裁判になるなんてこともなかったでしょうし。
で、反対論も結構強かったようですけれど、刑罰として死刑がある以上はフセインが死刑になるのは仕方ないんでしょうし（幾つかの事件について真相が明るみにならないのはどうかという問題はありますけれどね。ただ、これはフセインに限らず、そこいらのチンピラを死刑にする時にでも問題になりうる話でありますが）、しなかったからといってイラク国内の治安が良くなるという保障もないわけで、逆に奪還運動とかもおきるかもしれませんし。

ま、イラクはおそらくこのまま混乱の中分裂したりする可能性が高いですし、そうなるとイラクとかトルコとかもちろん欧米の意図もからまりあう複雑な事態になることも予想されます。
そうなると、サッダーム・フセインこそが結果的にイラク統一の象徴だった、なんて後々語られるのかもしれませんし、そうなるならフセインにとってもそんなに悪い話でもないのかもしれません。
もちろん当人が本当に納得して死んでいったのかについては何とも言えないですが…

ところで配信記事などに今のところ見当たりませんが、自身は死刑反対派だから署名しないで副大統領に任せると言っていたクルド人の大統領は、やはり署名しなかったんですかね。
自勢力の怨敵でありながらも主義を通したのだとすれば、個人的にはそれは結構人間として評価できることなのではという気もしますが。

ま、ひとつだけはっきりしているのは来年の私の誕生日の日に、「ああ、フセインの死刑執行から今日で一年なんだな」と思うことでしょうけれど（苦笑）